トレカン
~Treasure Company~

スピリットを軸に、社会へ価値を、社員へ夢を

株式会社ボンマックス
株式会社ボンマックス
主な事業内容 ユニフォーム事業、アパレル&グッズ事業、アパレル共創事業
本社所在地 東京都中央区
創業 1906年
従業員数 381名(グループ全体)

 

「幸せだから、自然と笑顔になってしまうんです」
そう言ってカメラの前でほほ笑むのは、今年創業120周年を迎える株式会社ボンマックスの代表取締役社長・外川雄一氏だ。

株式会社ボンマックス
代表取締役社長 
外川雄一 氏

順調な業績も笑顔の理由の1つだが、真意はそこにはない。「日々、社員たちと共に飽くなき挑戦を続けられている喜び」こそ、外川氏の口角を上げている最大の要因である。

外川氏の曽祖父が、山梨県が誇る伝統織物「甲斐絹」を手に東京・神田で商売を始めたのは、1906年。関東大震災や第2次世界大戦で休業や移転を余儀なくされたが、綿布問屋として1948年に再スタートを切る。その後、丈夫で加工性に優れた化学繊維が次々と誕生する中、1967年には作業服を製造するメーカー業にも着手し始めた。
「1980年代には、ファッション性を追求したレディスのオフィスユニフォームへと移行を図りました。1990年代以降からは、Tシャツ・ポロシャツなどのイベントウェア、レストランやホテルのサービスユニフォーム、介護スタッフユニフォームなど、多角的な展開を始めました」

外川氏は事業の変遷をこう説明する。当時、年間3億円ほどの売上高だったアパレル事業はグループ全体で110億円規模にまで成長。総合ユニフォームアパレルメーカーとして、「社会への貢献度No.1」を目指し邁進している。

 

減少する事務服の需要をソリューション提供で補完

現在の事業の柱は4本。1つは、日本トップクラスを誇るオフィスウェア(事務服)だ。2つ目はホテルやレストランなどサービス業向けのユニフォーム。3つ目はコンサートグッズやアミューズメント施設などの物販商品を含むカジュアルウェア。4つ目は大手企業の別注ユニフォームやその他、新規事業分野における多種多様なアイテムである。
「事務職が減少し、事務服の需要が減っています。それを補完する事業をどう展開できるかが鍵。常に世の中のニーズを探り、アイデアを生み出し続ける必要があるのです」

デザインや素材に熱を注ぐのは、当たり前。それ以上の価値を提供するからこそ顧客に感謝され、利益へとつながっていく。この心意気を背景に顧客から評判を呼んでいるのは、クリーニングや定期交換を含んだユニフォームのレンタルサービスや、在庫管理から発送・保管・再利用まで一括で担う循環型のユニフォーム・マネジメントシステムなど、痒い所に手が届くサービスである。

 

(写真上)ユニフォームやオフィスウェアとひと口に言っても、業種や店舗の数だけ種類がある。
各企業の要望に応じてデザインはもちろん、多様なサービスで応じている
(左下)縫製工場・物流倉庫・プリント工場を有したグループ会社のボンマックスアパレルは、
本社の原点であるものづくりを担う
(右下)岩手県陸前高田市にある物流センターは、敷地面積およそ1万㎡。
約300万点の在庫を収容し、全国各地へ発送している

 

また、大手企業を中心に求められるGXへのソリューションとして、不要になったユニフォームをアップサイクルするサービスも開始した。海外のアップサイクル企業と連携し、特定企業の廃棄ユニフォームだけを原料にしてコースターやキーホルダーなどに生まれ変わらせる。例えばキーホルダーにNFT(デジタルデータ)を組み込めば、スマホをかざすだけで特定のウェブサイトへアクセスさせることも可能。付加価値の高いアップサイクルプロダクトを提供できる強みがある。

こうしたさまざまなサービスは、多くが週に1度の定例会議に持ち寄られたアイデアから誕生している。
「既存業務の進捗状況を確認する場でもありますが、メインはいわゆる“ネタ出し”。社員は“今お客様は何を求めていて、私たちは何ができるだろうか”と常に意識し、業界問わずあちこちの展示会へ出かけてアイデアの種を探しています。そこから“こんなおもしろいものを見つけた!”と、ネタを披露し合うのです」

この定例会議ならぬ“ネタ出し会”から生まれてヒットしたのが、「裾上げらくらくパンツ」だ。裾に5段階のボタンを付け、折り曲げて留めるだけで裾を調整できる。スタッフの入れ替わりが激しいサービス業の負を解消する画期的な製品である。

「他にはないものをつくるには、失敗も多い。10やってみて7~8割は実を結びませんが、挑戦しなければ新しい価値は生まれません」

 

大ヒットした「裾上げらくらくパンツ」は、
折り曲げてボタンを留めるだけで裾を調整できる

4つのスピリットを胸に一枚岩で有事を乗り切る

同社は2000年頃から、ワークシューズの「crocs」、スポーツウェア「UNDER ARMOUR」などの海外ブランドや、国内のメジャーブランドとライセンス契約や協業の機会を増やしている。これも、顧客へソリューションを提供する一環だと外川氏は話す。知名度やデザイン性の高いブランドが手がけたユニフォームは、リクルートや従業員の就業満足度に大いに貢献するからだ。近年人気なのは、デニムブランド「Lee」とのコラボでつくられたエプロン。カフェやレストランはもちろん、テレビドラマや映画の衣装を担当するスタイリストからの指名も多いとか。

名だたる企業が同社をパートナーに選ぶ理由を外川氏はこう分析する。「1つは、国内に2000社以上の販売代理店をもっていること。もう1つは安定供給に必要な在庫を抱えられること。ユニフォームは、約10年は更新されないので、ある程度の在庫が必要です。また、名入れやロゴ入れといった二次加工に対応できる点も重宝される理由です」

なぜこんなにも、攻めの姿勢で新規の領域へ手を伸ばせるのか。尋ねると「すべては、当社が掲げるこれら4つのスピリットに基づいて行動した結果なのです」と外川氏は語る。

1 Creative Spirit
創造性を発揮して、新しい商品やサービスを生み出そう

2 Challenge Spirit
旺盛なチャレンジ精神を持って、積極果敢に挑戦しよう

3 Global Spirit
グローバルな視点で、広く世界に目を向けよう

4 Major Spirit
常にメジャーリーグの舞台で活躍しよう

クレドやスピリット、20の行動規範が書かれた
名刺サイズのリーフレットは、毎日の復唱用。

A5サイズのハンドブックには、より詳しく解説が
書かれており、研修などの際に活用している

同社の社員は毎朝、この4つのスピリットとクレド、経営理念を唱和して自身の仕事の軸を確認してから始業する。4つのスピリットに紐づいて20個の行動規範も策定されているが、それらは社員から寄せられた意見を基につくられたものだ。毎年、事業部横断で社員を10名ずつほどに分け、行動規範に関するエピソードを話し合うワークショップを設けるなど、「理念が浸透している状態」を担保する工夫を怠らない。

全社で同じ価値観を共有していると、「ピンチのときでもすぐ一枚岩になれる」と外川氏は語る。リーマンショックや東日本大震災、コロナ禍といった有事を一丸となって乗り越えてきた。それどころか、有事の年に過去最高益を出すという驚くべき成果まで上げている。
「個人の好みではなく、会社として何をすべきかすぐ判断できるのです。当社に入社を希望する学生たちにも、“確固たる理念のある会社を選びなさい”と伝えています」

新卒のリクルートで同社がユニークなのは、社長が学生の面談を受けることだ。「会社が学生を選ぶのではなく、学生が会社を選ぶのだ」との考えから、学生が用意した質問に社長が答えるスタイルを取っているという。繰り返し理念を伝え続けるのも、「せっかく縁あって入社したのなら、給与を得るだけの仕事にしてほしくない。挑戦を楽しんで成長してほしい」という社員への温かい思いから。外川氏は、会社を「社会に貢献する人になるための道場」と表現し、道場主として社員を健全に育てることを責務と捉えているのだ。

「わらしべ長者」のごとく縁と出会いで夢を広げる

昨年、本社1階に浮世絵文化をテーマにしたギャラリー&ショップを開設した。大河ドラマ『べらぼう』の主人公・蔦屋重三郎が興した書店「耕書堂」があった場所がすぐそばにあることがきっかけ。

本社1階に誕生したギャラリー&ショップ。
インバウンド客や大河ドラマ『べらぼう』ファン
などが足を運ぶ

地元への貢献を目指して始めた取り組みだが、ドラマにも登場する葛飾北斎関連のアイテムを扱ううち、国際北斎学会と縁がつながり、新たな企画が立ち上がった。同社を含めて十数社のメーカーが集い、葛飾北斎の関連アイテムを揃えて国内外でショップ展開する試みだ。インバウンド対応はもちろん、海外の著名な美術館などで開催される北斎展やイベントに連動し、日本が誇るアーティスト・葛飾北斎の文化や商品を訴求していく。

「ひょんなことから始めたことが、ご縁によってどんどん大きくなっていく。私が好きな『わらしべ長者』のような展開でしょう? 夢がありますよね。企業として利益を追うのは大切ですが、それ以上に尊重すべきは『Dreamable(ドリーマブル)』かどうか。“夢を見られる”という意味の私の造語です。社員のためにも、会社の存続のためにも、夢のある仕事ができる企業であり続けたい」

夢があれば、挑戦ができる。夢を追う挑戦には、喜びが伴う。夢がある限り、この先も外川氏の笑顔が途切れることはないはずだ。

 

 

機関誌そだとう227号記事から転載

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