ネッツトヨタ南国 視察会レポート

全社員を、人生の勝利者に!
強い組織をつくる「幸せ」の哲学

 

「社員の幸せ」を経営の根幹に据え、驚異的な成果を上げ続けるネッツトヨタ南国株式会社。
その強さの源泉に触れるべく、東京・名古屋・大阪の投資先企業30名とともに、同社を訪問しました。
横田英毅相談役の講話や施設見学、社員の方との対話を通して得られた、次世代組織へのヒントをレポートします。

 


 

「全社員を人生の勝利者にする」という壮大なビジョンを掲げ、社員の幸せを追求することでお客様満足を実現する――そんな独自の経営哲学を貫くのが、自動車ディーラー・ネッツトヨタ南国株式会社です。同社は“人間性尊重”の経営を徹底し、社員が自分らしく働ける職場環境をつくることで、2%以下の離職率を維持。それでいて全国約260社あるトヨタ販売店の中で顧客満足度1位を13回も獲得しており、まさに「人が輝けば会社も輝く」を体現する企業です。

今回はその成果の秘訣を探るため、東京・名古屋・大阪の投資先企業30名の皆さまとともに高知県にある同社を訪問。相談役の横田英毅氏による講話や施設見学、現場で働く社員の方とのクロストークを通じて、「人を大切にする経営」がいかに企業の活力と成果を生み出しているかを学びました。

 

横田英毅相談役からの講話に耳を傾ける参加者たち

働きがいの本質は「見えない報酬」にある

横田氏はネッツトヨタ南国の経営を通じ、「社員が幸せな会社は業績が上がる」ことを実感していると言います。では同氏が考える社員の幸せとは一体何なのでしょうか。「社員の幸せとは、給与や賞与、福利厚生といった『見える報酬』が満たされることだけではありません。成長する喜びや、良い仲間とともに働ける喜びなどの『見えない報酬』を実感できること、すなわち『働きがいを感じられること』が社員の幸せの本質です」

横田氏はそう語り、社員が幸せを感じている組織では、生産性は120%、創造性は3倍にも高まると強調されました。

また同社の理念の背景には、「満足=幸せではない」という考え方があります。“満足”とは、給与や福利厚生などの事実から得られるものであり、働くことにおける「目標」。一方、“幸せ”とは、成長実感や人間関係などの価値から得られるものであり、働くことにおける「目的」だと横田氏は語ります。

ではどのような状態だと、社員が働きがいを感じられるのでしょうか。横田氏は、「全社員が経営者としての意識を持つべきだ」と続けます。働きがいは他人からやらされている状態では決して生まれず、自らの内側から湧きあがる動機によって生まれるもの。社員が経営を自分事としてとらえ、自らの意思で行動する――そのような自律型の組織こそが本当に強い会社だと横田氏は話します。

 

ネッツトヨタ南国高知本店の隣に設置されている認定こども園「びすた保育園」。
社員だけでなく地域の子どもも受け入れている

共感でつながる仲間探し「全社員採用活動」とは

続いて、採用担当の長山大助氏から、同社の人財戦略を伺いました。印象に残ったのは、「全社員採用活動」というユニークな取り組みです。これは採用を担当部署だけの仕事とせず、社員一人ひとりが“会社の顔”となり、自分たちのありのままの姿を発信し、共感してくれる仲間を探すという考え方です。目的は「誰でも採用する」ことではなく、「会社を深く理解した上で、本当にともに働きたいと思う人から選ばれる」ことにあると長山氏は言います。

実際、会社説明会ではネッツトヨタ南国の「らしさ」を包み隠さず伝えるそう。そのため、学生の大多数はその個性の強さに圧倒されますが、中には興味を持ってブースに駆け寄ってくる学生がいます。その学生こそが、同社が求める“価値観でつながる仲間”とのことです。

さらに、ネッツトヨタ南国の「らしさ」は店舗にも表れていました。お客様が来店される店舗の入口はあえて自動ドアにせず、手動ドアを採用。その理由は、社員が自らお客様の来店に気づき、進んでお迎えに行く姿勢を育むためです。お客様を「待つ」のではなく、「気づき、動く」ことを自然に身につけてもらうねらいがあります。

また、商談スペースは全面ガラス張りとなっており、その奥にある整備場の様子が見えるつくりになっています。さらに整備場には美しい御影石が敷かれていますが、これも意識的なデザインです。御影石は、放置するとすぐに汚れてしまう。お客様の目に触れる場所であるからこそ、常に清潔で整った環境を保ち続ける意識を持ってもらうねらいがあるのです。そのほかにも、店舗の随所にネッツトヨタ南国ならではの工夫が施されており、一つひとつの仕組みに「人の成長」と「お客様への思いやり」を両立させる同社の理念が息づいていると感じました。

最後は実際に働いている現場の方々とのクロストーク。参加者からは質問が次々に挙がり、活発な意見交換がなされました。驚いたのは、企業説明会用の採用動画を制作する際にも、社員の主体性が発揮されていること。制作協力を社内に呼びかけたところ、昼休みにもかかわらず約45名もの社員が集まり話し合いに参加したそうです。誰かに指示されたわけでも、報酬があったわけでもありません。「自社をもっとよく伝えたい」という純粋な思いで、自ら動いているのです。

さらに、「上司は部下にむやみに教えない」という方針にも驚きました。仕事の目的を伝えることはあっても、やり方は教えない。それは自分で考える力を育て、本人の成長を尊重するためです。上から押しつけるのではなく、一人ひとりの意志と責任を信じる。その信頼関係が社員の主体性とモチベーションを高め、結果として高い成果を生み出しているのだといいます。

社員一人ひとりが主役となり、自ら考え、行動し、仲間とともに成長していく。その姿はまさに、同社が掲げる「全社員を人生の勝利者にする」というビジョンの実践そのものであると感じました。

 

(左)ショールームを見学する様子。接客の様子を包み隠さず見てもらうためガラス張りとなっている
(右)整備場に敷かれている美しい御影石。整備場では珍しい設計だが、床を清潔に保ち続けるねらいがあるという

 

機関誌そだとう226号記事から転載

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