~つくる力に出会う旅~
「働きやすさ」を劇的に変えた合理的な製造ライン

代表取締役 坂西宏之氏(左)
取締役 社長執行役員 坂西秀之氏(右)
- 主な事業内容:
- 精密歯車を中心とする減速機、一般機構ユニット等の設計、組立など
- 本社所在地:
- 東京都八王子市
- 創業:
- 1945年
- 従業員数:
- 91名
1945年に創業し、精密歯車メーカーとして歯車や減速機の設計・製造を手がけてきた坂西精機株式会社。多品種少量の受注を強みとする同社の製品は、工作機械や自動車、鉄道、医療機器など多様な産業で活躍している。
2009年、同社は東京都日野市にあった2つの工場を統合し、八王子に新工場を竣工させた。

「これまで建物よりも設備への投資を優先してきたため、気づけば老朽化が進み、品質を安定させるのが難しい環境でした。また、各設備も工場の形に合わせて配置せざるを得ず、思うようなレイアウトができなかったのです」
そう話すのは代表の坂西宏之氏。同氏は、工場を新設するにあたってプロジェクトチームを編成。現場の課題を全て洗い出し、改善を図っていった。新工場の設立にあたって重視したのは「質の向上」である。規模や体制は大きく変えず、坂西精機の技術を存分に発揮できる環境を目指した。改良の1つが床下コンクリートの増強だ。従来の約10センチメートルから50センチメートルへと厚みを増やし、振動を大幅に抑制。製品加工の安定性を一気に高めた。
「これまで当たり前だった振動がなくなったことで、従業員から『機械が止まったのがわからない』と言われるほどでした」
効率と共存を両立する新工場のかたち
現場の声を反映した改良を加えつつ、2工場を一体化。特筆すべきは、工場内を一周するように各工程を配置した動線設計にある。この無駄のないレイアウトにより、工程間の移動ロスが解消され、作業効率は以前の約2~3倍に向上したという。また、住宅街に立地する工場として、道路側に窓を設けない、変電設備を屋内に設置するなど、騒音・振動・臭いの対策も行き届かせた。さらに、裏山に暮らす蛍の保全活動にも積極的に取り組んでいる。こうした建物や設備の刷新に加え、同社は移転を機に5S活動や始業前の清掃などを定着させ、ソフト部分の改善も進めていった。
「私たちの目指すものづくりは一貫しています。納期が特別短いわけでも、価格が安いわけでもない。でも『坂西精機じゃないと困る』と言ってもらえる。そんな会社であり続けたいですね」と社長の坂西秀之氏。顧客の課題に向き合い、図面に現れない工夫で提案する。同社のものづくりは今も進化を続けている。
POINT「美しい導線」

旋盤:旋盤で被切削物を回転させ、工作機械に固定されたバイトと呼ばれる工具で切削加工を行う
ミーリング:フライス盤では平面や溝などを削る加工を、ブローチ盤では穴内部や表面を削る加工を実施
マシニング:マシニングセンタを用いて、「フライス加工」「中ぐり加工」などの加工を自動的に行う
歯車:ホブ盤やウォーム盤を使い、歯車の歯切り加工(切削によって作出する手法)を行う
研磨:研削盤では、回転する砥石で固定した材料の表面を磨き上げ、平らに研削加工する
組立:製品を組み立て、配線作業を行う組立コーナーには「騒音測定室」などを完備
検査:立体的形状及び歯車の形状を計測する測定機などで製品の検査を行い、品質を保証している
機関誌そだとう226号記事から転載










