知恵のひとつぶ

「インターンシップ」でハマりやすい罠とは?

 

採用市場でインターンシップが「当たり前」となった昨今、関連するトラブルも増えています。
今回は、ドリームサポート社会保険労務士法人の安中繁氏に、企業が陥りやすいインターンシップの落とし穴について伺いました。

インターンシップの類型とは

インターンシップとは、直訳すれば「就業体験制度」ですが、その内容は多種多様です。「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」は2024年度報告書において、学生のキャリア形成支援活動の内容を4タイプに分類し(図表)、そのうちタイプ3及び4のみをインターンシップと定義しました。

 

タイプ1は企業説明会やイベント、
タイプ2は大学等の産学協働プログラムなど、
就業体験を伴わない活動。
一方、タイプ3は企業が主催する適性・汎用的能力や専門性を重視したプログラム、
タイプ4は2カ月以上のジョブ型研究インターンシップなどを指す。

 

一方で、就業体験を伴わない単なる企業PRやキャリア教育及び生産活動等は、インターンシップとは呼ばないことも明確にされています。まずは、自社の取り組みがどの位置づけにあるのかを正しく理解することが出発点となります。

罠1:もっとも多いのは賃金問題
「どのタイプなら無償で実施できますか?」という質問をよく受けますが、有償か無償かは類型で決まるものではありません。インターンシップであっても、それが労働に該当すると認められる場合には、賃金の支払いが必要になります。労災保険の適用なども含め、一般の労働者と同様の法規制が及びます。

行政通達では、見学や体験の範囲を超え、企業側の指揮命令の下で学生が生産活動に従事し、その利益が事業所に帰属する場合には、労働者性が認められるとされています※1。就業体験のつもりでも、実態が「労働」になっていないか、改めて点検が必要です。

罠2:ハラスメントへの配慮不足
厚生労働省の調査では、インターンシップ参加学生の4人に1人がセクハラ被害を経験したと回答しています。食事への誘いや個人的な連絡は、善意のつもりであっても学生にとっては心理的負担となる場合があります。インターンシップは採用活動の一環であると同時に、学生は評価される立場にある弱い存在です。この点を十分に認識する必要があります。また、インターン参加が採用の前提であるかのような情報発信や、参加しなければ不利になると受け取られる対応は、いわゆる「オワハラ」として問題視されています。

インターンシップは、企業の魅力を伝える絶好の機会であると同時に、その企業の姿勢がもっともよく見られる場でもあります。制度の趣旨を正しく理解し、法令と学生への敬意を踏まえて運用することが、結果として企業の信頼を高め、よい採用につながるのです。

※1:平9・9・18基発636参照

 

ドリームサポート社会保険労務士法人
代表社員/特定社会保険労務士
安中 繁 氏

上場企業を含む全国約300社の顧問社労士として企業人事労務経営をサポート。
2023年10月より、内閣府におかれた「規制改革推進会議 働き方・人への投資ワーキンググループ」専門委員を務める。

 

 

機関誌そだとう226号記事から転載

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