女性経営者・後継者交流会

跡継ぎの“つながり”を強固に!

【SBICセミナー・イベント Collection vol.1】
中小企業、なかでもファミリービジネスの場合、事業承継を担うのはこれまでは息子や娘婿が主流だった。そんな中、“娘”(女性)たちが継承するケースもある。東京中小企業投資育成では、定期的に「女性経営者・後継者交流会」を開催している。2021年7月29日に開催した交流会の様子と参加者の声をレポートする。

今回、「跡取り娘が創る会社と組織」を
テーマに講演いただいた小林博之氏。
実際のケーススタディを交えながらの
講演は大好評。

 

「跡取り娘の皆さん同士がつながって本音を話し合える場を大切にしていきましょう!」
そう語るのは、(株)ソーシャルキャピタルマネジメント代表取締役社長の小林博之氏だ。
「跡取り娘.com」の代表理事を務める小林氏は、今回の講演で、女性後継者・経営者がつながることで、お互いに支え合える大きな力になることを真摯に説いた。

「すでにトップとしてマネジメントしている」「継ぐことを前提に、最近実家の会社に入社した」。参加者の状況や、抱える課題はさまざまだが、共通する悩みも多い。10年近く続いている本交流会は、そうした思いを抱える女性たちが、自由闊達に学び合う場だ。

今回は、小林氏が「女性経営者・後継者は周りに相談できる人が少ないことが多い。地域を超えて、家族以外に安心して経営やファミリーの話ができる仲間が必要だ」と参加者に語りかけた。

学びを通して、気づく。課題・悩みを共有する。

今回は、感染症対策のため、距離を取りながらの開催。
これまで、意見交換会は立食での懇親会を兼ねていたが、
今回は、会食をなくし着席で行った。リモートでの
参加メンバーも、積極的に発言していた。

講演会では、「跡取り娘が創る会社と組織」をテーマに、女性が事業承継を行う場合の留意点などに言及。娘が社長となることを、親世代がどのように思っているのか解説し、もしも跡を継ぐことについて、不安に思われているのであれば、それを払拭するための方法を紹介した。そのほか、女性ならではのリーダーシップを発揮する手法などが解説された。さらに、「カリスマだった先代のやり方をまねする必要はない。安心して、自信をもって、自分らしさを活かしていこう」と参加者を勇気づけた。加えて、人の育て方や、年上社員との付き合い方を解説。No.2育成の大切さや、時代にあった組織づくりのヒントまで、とても重要なトピックが詰まった内容に、参加者は熱心にメモを取っていた。

社長に就任して5年目を迎える参加者の一人に講演の感想を聞いた。
「納得する部分が非常に多くありました。例えばノンファミリー幹部の育成については、まさに『これから頑張って取り組まなくては』と考えていたところ。現在No.2はいるのですが、No.3の育成が課題です」と、講演で得たエッセンスを参考に、今後の育成に取り組む意欲を語ってくれた。同氏は本交流会がはじまった当初から参加しているという。
「同じような立場の人が似た悩みを共有できるのがこの会のいいところ。今後は、跡を継ぐ人たちの手助けができれば」とも語ってくれた。

“ヨコのつながり”で、ロールモデルを見つける

講演会の後は、参加者が経営の悩みや課題を語り合う意見交換会へと移行。それぞれの出席者の入社経緯、自社や自分の強みなどを踏まえた自己紹介からスタートした。その後は、プライベートな悩みも含めた本音トークで盛り上がった。
特に、「事業承継は早めに動いたほうがよい」との声が目立った。そのほうが、先代への相談や、失敗を含めた経験を積むことができる。

また、跡取りを目指す女性のなかには、大手企業などで業務経験を積んだ方も多い。入社時から、早期の承継のため、計画的なキャリアパスを目指す人もいるのだとか。
事業承継の場合、現経営者から引き継ぐものは当然ある。それが「タテ」だとしたら、同じような立場の人と本音で話したり共感できたりする「ヨコ」の関係も重要だ。しかし跡取り女性は、まだロールモデルも多くはない。だからこそ、こうした場が果たす役割は大きい。東京中小企業投資育成では、今後も女性経営者・後継者への支援を継続していく。

 

機関誌そだとう208号記事から転載

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