女性経営者・後継者・幹部の会開催レポート

変革に挑む“老舗”の経営哲学

 

2025年2月19日、女性経営者・後継者・幹部の会を京都で開催いたしました。本会は、女性幹部の皆さまが自由闊達に学び合える緩やかなネットワークの構築を目指し、10年近く開催しているものです。今回は、29社34名の皆さまにご参加いただきました。ビジネスサポート部の東がレポートします。

 毎回多くの反響をいただいている、女性経営者・後継者・幹部の会。
今年は「老舗企業に学ぶ経営力」をテーマに、伝統を守りながら新たな挑戦を続ける3名の方にお話を伺いました。

古きもののなかに新しい風を取り入れる覚悟

京の自然を感じる柊屋旅館でお抹茶をいただきつつ、
太田氏の講演に耳を傾ける参加者の様子。

まずご講演いただいたのは、京都・祇園にあるお茶屋「富美代」9代目女将の太田直美氏です。同氏は、伝統あるお茶屋のしきたりを守りながらも、自身の留学体験を活かした革新的な取り組みに着手。“新しい試みが伝統の継承につながる”との思いから、海外ブランドとのコラボレーションや造形アートの導入に取り組まれています。「保守派からの反発を受けながらも、理解を得られるまで丁寧に説明し、『自分が叶えたい夢』を伝え続けた」という女将の姿勢に感銘を受けました。

続けてご登壇いただいたのは、京都御三家旅館の1つとして知られる、柊屋旅館6代目女将の西村明美氏です。同氏からお話しいただいたのは、創業以来200年にわたり大切にしてきた「わが家に帰ってきたように、おくつろぎいただく」というおもてなしの心と、その精神を次世代につなぐための従業員教育。日本文化の継承へ真摯に向き合いながら、“温故知新”の姿勢を大切にし、世界からも高い評価を得る「柊屋」として、常にサービスの質を高め続けられる姿が印象的でした。

最後にお話を伺ったのは、株式会社ボークスの代表取締役会長である重田英行氏。模型メーカーからスタートした同社は、創業からの“ホビーの世界を通じてお客様により充実した生活をお届けしたい”という理念を大切に、時代の変遷や市場のニーズに合わせて事業を展開し、現在は高価格帯ドールのトップメーカーとなりました。講演では同氏が大切にしてきた信念や、その過程で直面した苦悩について伺うことができました。

昼食懇親会では、女性幹部の皆さまが抱える悩みや各企業の課題で話題が尽きず、日頃なかなか接点のない異業種・他地域の参加者同士の間でも、活発な意見交換と交流が行われました。
歴史ある京都の中で伝統を守りながらも革新的取り組みを行い、進化し続ける企業の姿を通して見えたのは、「決して変えてはいけないもの」と「時代やニーズを捉えて変えていかなければならないもの」。女性幹部の皆さまにとって不易流行を考える契機となったのではないでしょうか。

 

普段はボークスのカスタムドールのオーナーしか入れない
美術館。個性豊かなドールを観賞する参加者たち。

 

機関誌そだとう222号記事から転載

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