会長・顧問・相談役会

最高幹部の「学び」と「交流」の場

【SBICセミナー・イベント Collection vol.2】

 

投資先企業の創業者や元社長の方に、感謝の意を込めた会合を開きたい──。そんな思いで1996年に始まった「会長・顧問・相談役会」も今年で早、四半世紀。2020年はコロナ禍で開催できなかったが、21年は十分な感染対策を講じたうえで、10月13日に東京都港区の明治記念館で行われた。

 

2021年の会長・顧問・相談役会には、東京中小企業投資育成の
投資先企業の創業者や元社長など、およそ60人が参加。講演会では、
安全保障をテーマとした河野克俊氏の話に聞き入った。

 

「会長・顧問・相談役会」は、「講演会」と「懇親会」の二部構成。東京中小企業投資育成ならではの、特別感に満ちた内容に定評がある。このうち「講演会」では毎回、各界の有識者が登壇。社会・経済のトレンドキーワードのほか、「リーダーシップ」や「決断」など、トップに求められる振る舞いや発想のヒントが詰まっているとあって好評だ。

過去の講演者は、JAXAで小惑星探査機「はやぶさ」のプロジェクトマネージャを務めた川口淳一郎氏、ベストセラー『国家の品格』の著者でもある数学者の藤原正彦氏、エベレスト最高齢登頂者記録を樹立した冒険家・プロスキーヤーの三浦雄一郎氏など、錚々たる顔ぶれだ。

経営に通じる安全保障問題をテーマにした21年の講演会

2021年の登壇者は、前防衛省統合幕僚長で川崎重工業顧問の河野克俊氏。演題は、「我が国の安全保障とその課題」で、対中国・北朝鮮を軸とする日本の安全保障について講演された。河野氏は海上自衛隊出身で、自衛艦隊司令官、海上幕僚長などを歴任。14年に「制服組のトップ」である統合幕僚長に就任し、約4年半という異例の長期間、自衛隊の舵取りを担った。

東アジアでは近年、中国が軍事力を増強したり、香港や台湾への政治介入を強めたりして、米国や周辺諸国との緊張が高まっている。このことが、日本の外交や経済にも、大きな影響を与えている。
河野氏は日本の置かれた状況について、「今や好むと好まざるとにかかわらず、世界の安全保障の最前線に立ってしまった」と指摘。「いざという時にどうすべきか、考えておく必要がある」と説いた。

世界の安全保障を知り尽くす河野氏だけに迫力満点、説得力も抜群で、参加者は熱心に聴き入っていた。河野氏が明かした「豪州がなぜ日本ではなく、フランスの潜水艦を選んだのか」「日米半導体協定で、なぜ日本は譲歩せざるをえなかったのか」といった、国家間の水面下での駆け引きなども、同会だからこそ得られるプレミアム情報と言えよう。

豊富な経験と幅広い知見により、企業経営に助言する立場の会長や顧問、相談役は、日本経済とつながりの深い地域の外交問題にとても関心が高かった様子。
「防衛費の予算規模をどう考えるべきか」「台湾との外交関係をどうすればいいのか」「日本が見習うべき外交政策をとっている国はないのか」などといった質問が次々と出され、時間ぎりぎりまで質疑応答が続けられた。

講演に先立ち望月晴文社長は、「コロナばかりに目が奪われがちですが、経営を取り巻く安全保障のリスクについても、皆さんと一緒にじっくり考えたい」と述べていたが、正しく狙い通りの講演会だった。

感染対策を講じ恒例の「懇親会」を開催

講演会に続いて、昼食会を兼ねた懇親会が開かれた。懇親会は例年通り着座形式で、各テーブルには隣席との間にアクリルパーティションを設置。コロナ対策を十分に行った上での開催となった。

開会に先立つ乾杯の挨拶では「厳しい経営環境だからこそ、企業は変化への対応力が問われています。こうした場で知恵を共有して力を蓄え、皆さんと一丸となって、コロナ禍を乗り越えていきましょう」と、気勢が上がった。

21年は2年ぶりの再会とあって、参加者はお互いの近況報告などに花を咲かせていた様子。“激動の2年間”を振り返り、経済・社会に関する意見交換も活発に行われていた。

 

懇親会は円卓での着座形式で、隣席との間にはパーティションを設置。
乾杯にはノンアルコール・ビールを使用するなど、十分な感染対策を
講じて開催された。会場には開会前から参加者が入り、“密”を回避し
つつ名刺交換を行ったり、2年ぶりの開催に旧交を温めたりしていた。

機関誌そだとう209号記事から転載

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