支援事例
年に一度の“診断”で現状を把握し、改革する

ホテルマークワン株式会社

上村英生社長

主な事業内容:ホテル業、レストラン・喫茶店業、各種セレモニー等企画制作運営管理の請負および貸会場の経営
本社所在地 :千葉県我孫子市
社長    :上村英生
資本金   :9000万円
設立    :1997年
従業員   :63名

 

ホテルマークワンは千葉県我孫子市、印西市、茨城県つくば市にビジネスホテルを展開し、特に「女性専用フロア」の導入や化粧品をはじめとするアメニティの充実など、「女性にやさしいビジネスホテル」をコンセプトとしている。そんな同社は2018年、投資育成が提供する「社員職場意識調査サービス」を初めて利用。社員約60人(うちパートが約50人)を対象に、アンケートを行った。

その経緯について、上村英生社長はこう振り返る。
「インバウンドの増加などを背景に、ホテルは活況を呈していましたが、その半面、多忙を極めたせいか、社員のモチベーションが下がったり、人手不足に悩んだりしていました。そんなとき投資育成さんから、社員職場意識調査サービスを紹介されました。そこで、社員の意識調査をヒントに人事や労務を改善し、人材確保につなげようと考えたのです」

社員の意識がクリアになり、経営への自信に

初回の調査結果を見たところ、上村社長にとって“うれしい誤算”があった。社員の満足度がおしなべて高く、とりわけ「会社への共感」が予想外に高かったのだ。上村社長は、その理由について、こう分析したという。
「“女性にやさしいビジネスホテル”というキャッチフレーズが、スタッフにとってわかりやすく、しっかり伝わっていたと判断しました。女性従業員としても経営理念に共感しやすいし、好感度が高いわけですね。『私たちの仕事が女性のためにもなる』という実感も得やすいのでしょう。私は社員に対して、経営理念の浸透を図ってきたつもりでしたが、それが実現できていて、自信を持つことができました」

一方で調査結果からは、改善点も見つかった。その一つが、社内で開催している「接客コンテスト」の内容だ。
「社員から、評価方法が不公平という意見が多く寄せられたんですね。表彰されなかったら、不満を抱くのも当然かと思いましたが、『お客さまとじかに接する人だけでなく、裏方の人もきちんと評価してほしい』といった意見には目をみはりました。そこで賞の数を増やし、なるべく幅広い職種のスタッフが受賞できる仕組みに改めることにしたわけです」

同社は18年以降も21年にかけて、4年連続で同サービスを利用している。22年も利用を予定しているとのことだ。毎年調査をしなくてもよさそうにも思えるが、どうして行っているのか?
上村社長はこう答える。
「このサービスの利点は、外部調査によって、社員の意識が客観的に把握できるところにあります。調査を毎年行えば、社員の意識の経年変化がわかるわけですね。そうすれば、もし好ましくない変化の兆候が現れても、見逃さずに素早く手を打つことができます。毎年実施している健康診断と同じような感覚ですね。人材への投資と考えれば安いものです」

ファミリー客のためのお子さま対応も、大切なフロント業務だ。

結果は経営層で共有し、全社を挙げ改善に努める

同社では非接触の自動精算機を導入し、
チェックイン時にご案内している。

実際このサービスによって、社内の些細な変化を速やかにフォローできたことがある。あるセクションで担当スタッフの満足度が急に下がったため原因を調べたところ、有能なベテランのマネージャーが定年退職した結果、仕事上での支障が生じやすくなっていたという。そこで、そのセクションに対するフォローを強化することで、問題を乗り切ることができた。
調査結果は経営層やマネジメント層とも、共有している。
「部下たちがどんな気持ちなのか、何を考えているのかがわかるようになったことで、マネジメント層の意識や姿勢も変化したと感じています」

さらに社員職場意識調査の効果は、それだけにとどまらない。
「当社では顧客満足度調査も毎年行っているのですが、社員職場意識調査とシンクロするように、直近4年間は連続でアップしていたのです。社員職場意識調査の結果を人事や労務に生かしたことで、それがサービスにも好影響を与えたのではないかと推測しています。一方で、社員満足度が上がっていることは、企業評価の上昇にもつながるんですね。金融機関などのお取引先からも好感触を得ています」

フロント対応のみならず、レストランでの
対応などがお客さまに与える印象も大きい。

同社はコロナ禍の打撃からいち早く立ち直り、上村社長は「経済環境が落ち着いたら、第4号店も開設したいですね」と意欲を示す。生産性の向上や人材の有効活用のため、客室のチェックやメンテナンスで、AIやロボットの将来的な導入なども見据えている。

とはいえ社員意識の連続調査からは、中長期的な課題も浮かんできたという。その一つが、若手人材の育成だ。
「若い社員は、仕事の将来性や成長可能性に強い不安を抱いているようです。そこで、明確なキャリアパスを描いて不安を取り除き、若手人材の定着を図りたいですね」

投資育成では、階層別研修など人材育成プログラムにも力を入れている。同社でもそうした研修や投資先企業同士の交流会に社員を参加させることで、人材の確保や育成に役立てたい考えだ。

機関誌そだとう211号記事から転載

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