支援事例
社長と幹部の目線を“合致”させる処方箋に!

芝園開発株式会社

宮本 薫社長

本社所在地   :東京都足立区
主な事業内容  :総合自転車対策事業、時間貸し駐輪場・駐車場事業など
創 業     :1986年
従業員数    :580人

後継者としての焦燥。成長目指し、参加を決意!

駅前などを中心に、当たり前に見かけるようになった機械式のサイクルコインパーキング(駐輪場)のビジネスモデルを、1998年に日本で初めて開発し、運営したのが芝園開発だ。かつて、街にあふれていた放置自転車が、この登場でかなり減ってきた。
「父である会長(海老沼孝二氏)が、足立区の綾瀬駅前で、大量の自転車が放置されているのを見て、『何とかできないか』と考えたのが始まりです。それまでの駐輪施設は月極しかなかったので、数時間だけ駐めたいというすき間ニーズに応えるために開発しました」と、宮本薫社長は語る。

同社では、自社サイクルコインパーキング160施設と、時間貸し駐車場130施設を運営。さらに、東京・神奈川・千葉にある7つの自治体と契約を結び、自社開発のシステムを駆使しながら、公共駐輪場の運営から利用者の指導、放置自転車の撤去、保管、返還などすべての作業を担っている。ちなみに、現在、同社売上の6割を占めるのが、自治体から請け負う“総合的な自転車対策”だ。

宮本社長は、2007年同社に入社。2011年頃に事業承継を決めた。
「当時、自分は経営者として何ができるだろうかと不安を抱えていました。会長から、『人の力を借りればいい』と言われても、あまり聞く耳を持てませんでしたね。『経営者なら、自分ですべてを把握しなければならない』と思っていたのです」

そんなある日、海老沼会長が、「次世代経営者ビジネススクール」への参加を勧めてくれた。
「受けたいという気持ちはあったのですが、子どもがまだ3歳で、毎月2日間、家を空けるのは難しいと思いました。しかし、会長の勧めと、SBIC担当者の熱心な説明を受けて、参加することを決めました」

 

同社は、新宿区の自転車対策も請け負う。パート社員に貸与する端末は、高齢者でも操作できるよう、工夫されている。

幹部を次々送り込み、経営を支える“仲間”に!

スクール最終日、研修を通じてまとめた
自社の経営戦略をプレゼンする宮本社長。

宮本社長は、2014年にスクールを受講。そのなかで、一番よかったと感じたことは、「様々な立場の人に出会えたこと」だという。
「後継者やナンバー2、役員候補生も参加していて、ポジションの違いで会社や事業が違って見えることに気づきました。カリキュラムで、参加者の立場を入れ替えるロールプレイングをしたとき、『人の力を借りればいい』という会長のアドバイスの意味がわかりました。社長がすべてをやる必要はなかったんです。それからは、社員を頼れるようになりました」

翌年、ナンバー2の市川常務もスクールに参加。それは宮本社長が、「仲間」をつくりたいと思ったからだ。
「予想通り、同じようなモノの見方ができるようになり、仕事のことも、悩みも話しやすい関係になりました。また、財務や戦略などに関して、2人の間に共通言語が生まれたんです」
その効果を実感した宮本社長は、2016年には現場責任者1名、さらに2017年には子会社の役員を参加させた。その結果、両者とも視野が広がり、宮本社長や市川常務と、共通言語で会話ができるようになった。

スクールに参加した宮本社長と市川常務。
会社の未来を、共に語り合う。

仲間は社外にも広がり、当時のスクール同期とは、コロナ禍前までは頻繁に会い、現在でも困りごとについて相談することも多いという。
「スクールでは、会社経営の本質を考えさせられました。私が見ていたのは“事業”であって、“経営”ではなかった。経営には正解も完成もありませんが、“経営者としての決意”を固めることができました」

現在の課題は、幹部候補生と中堅層の育成だ。経営幹部としての意識を鍛えるためには、スクールへの参加は効果的だと宮本社長は考えている。
「スクールに送りたいと思う社員たちが、だんだん増えてきたことを嬉しく思います。今後も、期待する人材を積極的に参加させていきたいです」

同社はこれからも、ともに会社の在り方を語り合える“仲間”を増やし、成長を続けていくことだろう。

 

機関誌そだとう209号記事から転載

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