支援事例
「ハンズオン支援」最大の成果は“意識改革”にあり

旭自動車ボデー株式会社

原 賢治社長

本社所在地   :埼玉県草加市
主な事業内容  :トラック、バスボデー一般修理、事故修理、二次架装及び民間車検工場の運営
創 業     :1947年
従業員数    :70人

「ハンズオン支援を利用する前は、正直不安もありました。現場のリーダーの手を止めてプロジェクトを行うわけですから、生産性が落ちてしまうのではないかと。ただ、今は感謝しかありません。社員に“改善に終わりはない”という意識付けができました。これは、我が社の宝です」

埼玉県草加市に本社を置く旭自動車ボデー株式会社の原賢治社長は、そう力強く語ってくれた。

同社は、原社長の祖父が1947年に東京都港区で創業した老舗自動車修理工場だ。その後、1962年に現在の場所に移転してきた。約4000坪の敷地のなかで、トラックをはじめとした大型車両の架装、整備、車検から事故車の修理など、すべてを自社内で行うことができる「トラックの総合病院」である。

「外注に出さないからこそ実現できるスピードとクオリティで、おかげさまで業績は好調でした」(原社長)

その一方で、日々の依頼が増えてきて、実務をさばききれなくなってきていたという。

「しかし、ムダを省けば、もっと生産性を高めることができるのではないかという思いはありました。ただ当時は、それをどう体系化して指示すればいいのか、わかりませんでした」(原社長)

そこで、2019年3月、率直な思いを投資育成にぶつけたところ、「現場に社長の考えを伝えるいい機会ではないか」と勧められたのが中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)の「ハンズオン支援」だった。

その特徴は、通常のコンサルティングとは異なる、細やかな支援態勢にある。すぐに専門家を派遣して、紋切り型の指導をするのではなく、支援を始めるまでに2度、3度と会社を訪問してヒアリングを行う。そのなかで、細かい支援計画を作成した上で専門家を派遣するしくみになっている。

「約半年間を使って、ムダ作業、ムダ時間の掘り起こし、デッドスペースの有効活用、5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)活動などを基本にして、仕事の効率化を進めていくという基本案を作りました」(中小機構担当者)

5Sと「見える化」の徹底が作業の効率化を生み出す

いよいよ、専門家を交えての支援がスタートする。最初はすべての作業班の班長に集まってもらって、ムダだと思うところを挙げてもらい、それを専門家とディスカッションを重ねながら一つずつ潰していくという作業から行った。

まず、取り組んだことは、整理整頓の意識付けと5Sの徹底だった。たとえば、毎週水曜日に掃除の時間を作る、材料の保管場所の整理整頓、ゴミの仕分けなど、基本的なところから始めたという。

「現場レベルでは正直、改善なんて簡単にはできないだろうと思っていました。ただ、掃除や整理整頓を実際にやってみて作業の効率化を実感すると、また次の改善に取り組もうと意識が自然と変わっていきました」(師田哲史工場長)

次なるムダの削減に効果を発揮したのは、作業の「見える化」だった。

ピーク時には、広大な敷地に大型トラックが所狭しと並ぶ。そんななか、修理、板金、塗装、架装などをこなすわけだが、車の流れをうまく作らないと移動だけでもムダな時間が生まれてしまう。

「以前は車両が置いてあっても塗装を待っているのか、整備を待っているのか、作業員にはわからないこともありました。そのため、いざ塗装をするというときに、事情がわからない作業員に、車両を別の場所に移動されてしまうことも度々ありました」(師田工場長)

そこで、各車両の前面に「塗装待ち」「修理待ち」ということがひと目でわかる札を付けるようにした。

「敷地内の車の動きが目に見えて変わりましたね。この車両の作業は終わっているの?といちいち作業員に聞く手間も省けますから一石二鳥でした」(原社長)

このほかにも、塗料の在庫管理、作業の工程表、進行状況の「見える化」など様々な改善が行われた。

売上・利益は上がり、残業は減少支援による意識付けの賜物

若い従業員がのびのびと働く職場には、活気が満ち溢れていた

会社の現状に即した改善策を一緒に考えていくハンズオン支援は、実に8カ月にも及んだ。その成果は、すぐに目に見えて表れた。

月当たりの実績値として、1人単位時間当たりの売上高は5.6%上昇、1人月当たりの残業時間は25.4%減、1人月当たりの利益額9%増という驚きの数字が出たのだ。

原社長は今回の支援の効果について、次のように振り返る。

「数字的な部分ももちろんうれしいですけど、課題を見つけ、みんなで考え、ちょっとした工夫で改善していく“意識付け”ができたということが最大の成果ですね。また、若い人が、自ら考え行動するようになり、とても頼もしくなりました」

中小機構担当者は、まさにその部分こそが「ハンズオン支援」のメリットだと語る。

師田哲史工場長

「基本的には6カ月、8カ月、長いところだと10カ月ほど支援させていただきますが、そんな短期間で企業が劇的に変わるということはありません。改善が意識として根付いて、それを続けていくことで会社が変わっていく、それこそがハンズオン支援の意義だと思っています」

「変えることは難しく、勇気のいること。だが、常にトップが変わっていく意識をもっていないと企業はダメになる」という原社長の言葉は、経営者であれば誰もが身に染みてわかることだろう。

そんな企業の「変革」に対して、一緒になって悩み、考え、現場レベルで対応してくれる専門家を派遣し、組織のみならず、会社の意識までも変えることができるのが、中小機構の「ハンズオン支援」の最大の強みといえるだろう。

機関誌そだとう205号記事から転載

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