支援事例
視界が変わる学びで自発的成長に照準

大京食品株式会社

窪田洋一郎社長

窪田洋一郎社長

本社所在地   :東京都中央区
主な事業内容  :業務用食品の卸売および販売業務など
創 業     :1962年
従業員     :120名

「毎月丸2日間連続・計10回の講義は、経営のイロハが濃縮されながらも詰め込み式ではなく、予習→復習→実践のスケジュールが無理なく組まれています。約1年で経営者として必要とされる能力を身につけることができたと思います」

大京食品の窪田洋一郎社長は、投資育成「次世代経営者ビジネススクール(以下、ビジネススクール)」をこう評価する。

新しい風を吹き込み時代に合わせた経営を

食品をピッキ ングするスタッフ

東京都大田区の自社倉庫で、顧客
に配送する食品をピッキングする
スタッフ。音声指示で棚番や数量
を確認し、作業効率向上を実現し
ている。

窪田社長は2年前、50歳を迎え「人生の最初で最後のチャンスとして区切りを付ける」と、長年勤めた東京電力を退職し、創業者である父(窪田洋司会長)の後を継ぐため、大京食品に社長室長として入社した。

「父は、部下に任せておけば経営は大丈夫だ、と。もちろん、頼りになる社員たちはいたのです。とはいえ、自社の中身を知るほど気になることがいくつも出てきました。父のようなカリスマ創業者が引っ張ってきた会社はどこもそうだと思いますが、当社もご多分にもれず、社員は父に頼り切りで、営業も組織としての有機的なつながりが薄く、個人プレイばかりが目立っていました」

同社は、現会長の洋司氏が1962年に東京・築地で創業。仕出し弁当業界などを得意先に業務用卸として業容を拡大し、長男である窪田社長が入社した2018年に売上高100億円を突破する。

洋司会長が後継者のために用意していたのが、冒頭のビジネススクールだった。食品物流について何も知らなかった窪田社長は、得意先を訪問し、自社内の現場を回ると同時にビジネススクールへ通い始めた。

ここでは、「組織の作り方」「マネジメントとリーダーシップ」「部下指導力の強化」「リスクマネジメント」など、勝ち残る企業を率いるために必要な要素を学ぶ。入社当初は部下が思うように動いてくれなかったが、ただ命令するだけでなく、方向性と最終目標をしっかりと伝えるべきだということを理解し、指示が受け入れられるようになったと窪田社長。

「私は、部下への指導力が不足しており、事業計画の基本もわかっていませんでした。ただ、それらをイチから学べ、“経営に関するフレームワーク”の使い方を知ったのも役立ちました」

社長交代会見

2019年9月、業界紙の記者団を前に社長交代会見に
臨む窪田洋司現会長(左)と窪田洋一郎社長。

受講が進むなか、企業経営の観点から自社の利益率向上も課題として見えてくる。固定費をいかに下げ、収益力を上げるかを考えた。カリキュラム内で行う「企業戦略シミュレーション」では、受講生26人が5グループに分かれたゲーム形式で業績を競うが、窪田社長は経営者役となり、グループを1位に導く。

「ゲームですが、1位を取れたのはうれしかったです。破産したら模擬債権者集会を開く必要もあったので。疑似体験ながら、学んだ内容を実際の企業経営に活かせ、良い経験になりました」

こうした受講を通じて得た仲間の存在が自身に役立っているという。

新型コロナによる影響を環境分析で見える化

皆で記念撮影

同社へ長年貢献した河倉基弘相談役(後列中央)の最終出勤日に、
皆で記念撮影(2020年8月)。

同期とは毎回、講義の終了後に飲んだり、いまでも日常的に連絡を取り合ったり。新型コロナが起こる前は、親しくなった仲間と月に1回くらいは会っていました。メンバーのうち3分の1が私と同様に次期社長で、いろいろな業界の話を聞けましたし、また食品業界のことをみんなに伝えることもできました。経営者や管理者としての悩みも話し合えるなど、新しい視界が加わり、とてもいい刺激になっています」

19年9月に現職に就任した窪田社長は、「よき伝統を守りつつ、世の中の変化に合わせた発展を遂げる」ことを宣言。経営者についていくのではなく、全員が自ら考え、有機的に動く企業体質改善を目指す。いよいよビジネススクールでの成果を実践に移す時期がきたわけだ。

本社外観

本社外観(東京都中央区)。

管理職を集めた会議では、それぞれが当事者意識のある意見を社長に発言することを求めた。優秀な営業課長ほど一匹狼的に動いていたが、組織運営の重視を指示し、マネジメント力も人事考課に算定することを計画。幹部と話し合い、今後の事業計画を一緒に立てていくことにする。経営者と社員は一体であることを強調して、管理職を能動的にさせる改善を重ねた。

20年に入ると新型コロナの感染拡大が始まり、大京食品の業績にも影響が及んでいる。そこで、ビジネススクールで学んだ環境分析を取り入れたプレゼンを実施、課題の見える化を行った。

「外食業界全体の売上低下、巣ごもりによる家庭消費の増加など、最低限の要素を選んで分析してみました。これは社員の集中力を高める材料になるでしょう。また、分析結果を活用させることで、管理職が主体的に考える風土が生まれつつあります」

最近は、若い社員も事務会議で自発的に具体的なコストダウン施策を提案するようになったという。ビジネススクールの学びが会社を変えた。

機関紙そだとう204号記事から転載

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