支援事例
課題解決を支援する。 これが投資育成の魅力

髙松電機株式会社

松山弘信社長

松山弘信 社長

本社所在地   :静岡県浜松市
主な事業内容  :電子、電気自動制御装置設計製作施行、オートメーション・エレクトロニクス部品機器販売など
創 業     :1946年
従業員     :70名

「投資育成は株主でもあり、経営者と同じ立場で悩みの相談に乗ってくれるので、頼りになります」と、浜松市に本社を置く髙松電機の松山弘信社長は語る。

同社は松山社長の祖父が1946年に創業した老舗メーカーで、自動制御装置の設計・製作・施工を一貫して続けてきた。工場内の各種装置の省力・省人・省スペース化などの制御装置を手がけ、浜松本社においては創業以来、ホンダと取引を続ける。そのほか、ヤマハ発動機、スズキ、NTNなど大手企業を中心に納入している。

87年には投資育成から株式の出資を受けて、坂戸市に埼玉工場を建設した。埼玉工場は、ホンダ関連企業との取引が主体である。

「お客様に恵まれ、守られながら仕事をしてきただけに、当社の社員には甘えがあります。ニーズを見つけ出して顧客満足度を追究するといった攻めの姿勢が足りず、財務状況のよさも相まって、社員がのんびりしていることに私は危機感を持っていました」と語る松山社長は、2000年に髙松電機に入社、専務などを経て、17年に4代目に就任した。

そして、甘えを断つためにも埼玉工場で、取引先の新規開拓に取り組み、日立グループや商社などとの取引を増やしてきた。だが、社長に就任すると経営課題がより強く認識されるようになり、経営者としての責任感も増してくる。「かつて、投資育成は私にとって大株主というお客様的存在でした。ただ、専務時代の16年に若手経営者の会である“志水塾”に誘っていただいて以来、親しく相談できる相手となり助かっています。志水塾には私と同じような後継者が多く、利害関係のない中でいろいろな話をさせてもらって勉強になります」

単なる株主ではなく経営者目線で応えてくれる

志水塾は投資先の見学会があり、その中で松山社長は偶然にも同業を視察することができた。

「その会社は私が自社に感じていた経営課題をクリアしており、社員が新しいことに挑戦する意欲が高いことに驚きました。新規開拓にも積極的だし、それに比べると当社は保守的だと痛感したのです」

悩みをぶつけたのは18年5月。松山社長は決算報告をするために投資育成の本社を訪れた。そこで、投資育成の担当に思いを打ち明ける。

加藤 勝 部長

加藤 勝 部長

「幸い業績は好調なので、これを好機として経営改善に取り組みたいが、どうしたらいいのかと相談してみると、様々な提案をしてくれたのです。銀行や税理士の担当者に話をすると、どうしても財務関係の話が中心となりますが、投資育成は一段上の経営者の視点でアドバイスをくれました。本当に気兼ねなく相談できる相手だと思います」

投資育成が議論の末に提案したのは、経営改善のために社内でプロジェクトを立ち上げること、そして専門家を活用したいくつかの手法である。松山社長は、その中で中小企業基盤整備機構の「ハンズオン支援」の活用を選択する。

こうして、19年2月から毎月2回ずつ計10回、浜松本社と埼玉工場で交互にプロジェクト会議を開くことになった。松山社長をはじめ、課長職以上10人が参加。午後の5時間を使って議論を続けた。参加メンバーの1人であり、埼玉工場の実質責任者である加藤部長(埼玉・宇都宮事業本部)は、こう語る。

「新社長になって、事業計画や会議のやり方など変わってきました。その中で自分の考え方や部下への指導方法などもこれでいいのかと不安があり、外部の人に確認してもらういい機会だと思いました」

話をすれば必ずアンサーが。もっと経営支援を活用すべき

松山社長はプロジェクト開始に当たって、三つの目標を掲げた。一つ目は「既存顧客に対する付加価値を追求すること」、二つ目は「4つのエンジン+R/B」戦略の推進。これは同社が今後力を入れるべき事業戦略で、「制御設備のリニューアル」「省エネルギー」「機電一体製作(電装のウエイトが高い検査装置の受注)」「生産管理システム」に加えてロボット化を意味する。そして三つ目は「SWOT分析やPDCAなどの経営ツールを理解し使いこなすこと」である。

SWOT分析とは自社の「強み」「弱み」「機会」「脅威」を分析して、経営戦略などを策定するフレームワークで、プロジェクト会議では重要なツールとなった。PDCAは計画、実行、評価、改善のサイクルを回す手法だが、松山社長は社員達がこの「P=計画」の力に弱いと感じ、きちんと5W1Hで考えられるようになってほしいと願っていた。

「SWOT分析やPDCAについては、はじめに投資育成の職員が勉強会を実施してくれました。会社のこと、事業のことを理解してくれていますので、そのレクチャーは、とても役に立ちました。いわば、影のファシリテーターですね」

後半に入るとSWOT分析の議論が明確化し、松山社長が望んでいた方向に話が進むようになった。7月後半に全10回が完了、1枚の実行計画書が成果物として生まれた。

「これを見てすごいと思いました。A4サイズ1枚に5W1H形式で目的と計画、予算・体制作りなどが簡潔に書かれているのです。まさに不足していた『P=計画』の力が身についたのです」

メンバー達はこの実行計画書の手法を身につけ、自発的にIoT化計画書を提案するようになった。加藤部長は、「本社と埼玉工場の一体感が生まれました。制御装置のリニューアル計画も一緒に策定している途中です。実行計画書ができて目標達成がしやすくなりました」と続ける。

松山社長は投資育成について、「担当の人に話すと必ず何らかのアンサーがあります。せっかく投資してもらっているのだから、パートナーと理解して、経営支援を受けるべきだと思います」と語る。

投資育成の役割は、まさにここにあるといえる。

投資育成の使命とは?

機関誌そだとう202号記事から転載

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