SBIC東京中小企業投資育成株式会社

ご利用企業の皆様へ
支援事例

投資育成の支援で海外進出に挑戦

日本自動機工株式会社

「中小企業は、経済を牽引する力であり、社会の主役である」と「中小企業憲章」に記されている。中小企業は日本の全企業数の99.7㌫を占め、国内雇用の約7割を創出している。同憲章にもある通り、中小企業は「常に時代の先駆けとして積極果敢に挑戦を続けてきた」が、各社がそれぞれの成長ステージで直面する課題を乗り越えるための支援が欠かせない。
こうしたなか、東京中小企業投資育成は、中小企業投資育成株式会社法に基づき、中小企業の自己資本の充実を促進し、その健全な成長発展を図ることを目的に、投資業務および経営相談やビジネスマッチングなどの育成業務を行っている。同社の活動を交え、果敢に市場を切り拓く中小企業の姿を紹介する。

信用第一をモットーに、利水・治水、水資源の有効活用に取り組む

「ラバーダム」のパイオニア企業

同社は日本で初めてラバーダムを手がけた
パイオニア。コストパフォーマンスと
耐久性・安全性を兼ね備えた主力製品

埼玉県さいたま市に本社を置く日本自動機工は、1950年の創業以来、各種水門や河川・農業用水路のゴミを取り除く除塵機などを手がけてきた総合水門メーカー。同社がこれまでに設置した水門や除塵機は全国で約3300カ所に及ぶ。
主力製品は、ゴムを圧縮空気で膨張させて河川の水位を調節する「ラバーダム(ゴム堰)」で、同社は日本で初めてラバーダムを開発し1964年に製品化したパイオニア的存在。同社がこれまでに手がけたラバーダムは600カ所以上にのぼる。
「ラバーダムは土木構造がシンプルで、鋼鉄製のゲート(水門)よりもコストが格段に安く、メンテナンスフリーで、据付等の期間が短い、景観を損なわないなどの理由から広く普及しました。耐久性についても鋼鉄製のゲートと遜色なく、防災・治水用にも使われています」と古屋久昭社長は語る。
また油圧シリンダーなどで堰を起伏させる転倒ゲート(起伏堰)でも、全国に約900カ所の実績を持つ。上部に高い構造物がないためコストが安く、美観に優れているなどの特徴がある。さらに一般水門に加えて、ダム管理設備や遠隔地からでも河川の水位や水門の状態などを監視・管理できる制御システムのほか、最近では水質浄化のための環境システム機器であるアオコの除去装置などの開発販売も行っている。
設計から製作、据付、保守点検までを社内で一貫して行う体制を敷いていることが同社の強み。長年にわたって蓄積された溶接技能などに支えられた高い技術力を背景に、顧客ニーズや環境・省エネに配慮したものづくりを行うことはもちろん、予算縮減で公共事業の新設案件が増えないなか、保守点検も収益の大きな柱になっている。
年度によっても異なるが、過去に手がけた設備の保守工事が売上高の一定の割合を占めるまでに伸びている。メーカーの撤退などでメンテナンスが難しくなった他社の既設案件の保守点検を依頼されることも少なくない。

地域とインフラを支える社会貢献こそ本業

全国で900カ所以上の実績を
持つ同社の転倒ゲート

同社は「誠実と和のもとに最良の品質を提供し社会に貢献する」ことを社是に掲げる。「当社が納入する製品は公共財で、私たちはつねに製品の品質に対する責任を負っています。そのため仕事は真面目に、誠実に、正確に、信用第一をモットーにしています」と古屋社長はいう。
同社には「自分たちは日本の利水・治水を支える社会インフラを手がけている」という、誇りと自負がある。 2015年10月1日、同社は国土交通省関東地方整備局が定める「BCP認証企業」(有効期間2年)に再認証された。これは、災害時における緊急輸送道路の早期確保や河川堤防、港湾施設などの早期復旧の担い手となる「災害時の基礎的な事業継続力を備えている建設会社」を認証する制度。
同年9月に茨城県常総市などで、集中豪雨により鬼怒川が氾濫し、大規模な浸水被害が発生した。その際、茨城県内にも数多くの現場を抱え、被災地近くの栃木県真岡市に工場を持つ同社のスタッフも緊急出動し、3交代で約2週間にわたり復旧作業に汗を流した。
「そのとき社内で災害派遣のボランティアを募ったのですが、とくに2、30代の若手社員から数多く手が挙がり、驚きました。それが彼らの世代の特徴なのかもしれませんが、もともと水門などを手がける当社は、社会貢献企業だと考えています」と古屋社長。さいたま市が市内中小企業のCSR(企業の社会的責任)を推進するために行っている「さいたま市CSRチャレンジ企業」でも、初回の2012年から認証を受けている。

投資育成の支援で海外進出に挑戦

日本自動機工
代表取締役社長
古屋久昭氏

同社が資本増強を目的に、東京中小企業投資育成の支援を受けたのは1998年のこと。それ以来、投資育成は日本自動機工にとって、株主として経営の安定化に貢献し、経営上のさまざまな課題について気軽に相談できるパートナーになった。
そうしたなかで、古屋社長は投資育成に海外展開の相談をもちかけた。「2020年の東京オリンピック後には国内需要が収縮する可能性があると思います。そのため海外に目を向けたいと思いました」と古屋社長は話す。
最近、中小企業に向けた海外展開支援策のメニューが豊富になってきたなかで、同社が注目したのが、海外で事業を行う前にプロジェクトの実現可能性を調べる案件化調査(フィージビリティスタディ)を公的資金で支援する制度。投資育成は制度に関する情報の提供に加え、幅広いネットワークを活かし、制度の実施先である中小企業基盤整備機構(中小機構)や日本貿易振興機構(JETRO)、国際協力機構(JICA)などへの橋渡しを行った。
また、同社にとって非常に役立ったのが投資育成の投資先先輩企業からのヒヤリング。投資育成から、JICAの案件化調査の採択に成功している投資先先輩企業の紹介を受け、古屋社長が足を運んでアドバイスや苦労話の生の声を聞くことができた。こうした投資育成による支援もあり、同社がインドネシアで計画している「ラバーダムによる小規模ダムのリハビリ技術に関する案件化調査」はJICAの中小企業海外展開支援・案件化調査に見事、採択される結果となった。
今後は、海外プロジェクトの事業化を目指すと同時に、ラバーダムに替わる、もう1つの収益の柱を確立することが目標。たとえば当社が得意としている油圧技術を活かすことも1つの選択肢だ。2015年11月には、省スペース型の油圧開閉器『ハイブリッド開閉装置』が国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)に登録された。現場で培われた独自技術を活かし、新たな展開を進めていく。

コラム

投資先企業が真っ先に相談できる「ホームドクター」を目指す

東京中小企業投資育成
業務第5部 主任
松本晃氏

設計、製造、据付、保守点検までを一貫して行うことができ、大手にも負けない技術力を持っている点が日本自動機工社の素晴らしいところだと思います。
昨年、古屋社長から海外展開をしたいというお話があり、お手伝いをさせていただきました。
当社では、中小企業庁や国際協力機構(JICA)などから講師を招き、中小企業向けの海外支援策について定期的に社内勉強会を行っています。そこで得た情報も参考にしながら、各担当者が自分の投資先企業に合う支援メニューをご紹介しています。
また古屋社長から「投資育成さんの投資先にJICAの案件化調査に採択された企業があれば体験談を聞きたい」というご要望があったので、おつなぎしたところ、投資先の企業同士に仲間意識があるのか、すぐに快諾していただきました。
私たちは投資先企業から最初にお話を聞き、必要に応じてより専門的な知識やノウハウを持つ人脈につなぐホームドクターのような存在を目指しています。
治水は社会を支える大切な分野で、それなしでは私たちの生活が成り立ちません。最近、さまざまな災害が起こるなかで、日本では従来当たり前のように思われてきたインフラの大切さが見直されています。
世界にはまだインフラが整っていない地域が数多くありますから、日本自動機工社には世界でも活躍していただきたいと思います。そのためのお手伝いは何でもさせていただきます。

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