SBIC東京中小企業投資育成株式会社

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支援事例

企業後継者が学び合う投資育成の「若手経営者の会」

オリオン機械株式会社

東京中小企業投資育成(代表取締役社長 望月晴文)は、中小企業投資育成株式会社法に基づき、中小企業の自己資本の充実を促進し、健全な成長発展を図ることを目的に、投資業務および経営相談やビジネスマッチングなどの育成業務を行っている。同社の活動を交え、それぞれの成長ステージで直面する課題を乗り越えてきた「元気な中小企業」の活躍ぶりに迫る。

第一級の人材を育て、「世界No.1製品」を世に送り出す

部品加工の下請けから酪農機械のトップメーカーに

「世界No.1製品の開発に挑戦」を経営方針に掲げる酪農機械・産業機械メーカーのオリオン機械は、2016年に創立70周年を迎えた。
当初は部品加工の下請けをしていたが、経営はなかなか安定しなかった。「『下請けのままではみんなを幸せにすることはできない、だから自社の製品を作らなければならない』と、父は常に社内で訴えていました」と、2代目の太田哲郎社長は話す。
同社はあるとき酪農家から『こういうものを作ってくれないか』という相談を受けた。それが、当時は高価な輸入品しかなかったミルカー(搾乳機)で、同社は数年かけて開発に取り組み、 1957年に国産初の製品を世に送り出すことに成功。次いで1959年には生乳の冷却に用いられるユニットクーラーを国産として初めて販売し、日本を代表する酪農機械メーカーとしての地歩を固めていった。
最近では、搾乳ロボットやミルキングパーラー(大規模酪農で用いられる搾乳専用施設)のような、酪農の大規模化や省力化ニーズに応える製品を提供。 モノだけでなく、全国で100台の「ルートカー」を走らせ、酪農機器の点検サービスや乳質改善の支援サービスなどを提供する「ルートプログラム」を実施するなど、 酪農家の経営改善への貢献を目指している。

コア技術を活かし産業機械分野を開拓

オリオン機械
代表取締役社長
太田哲郎氏

一方、同社は酪農機械で培った真空技術と冷凍技術を活かし、産業機械分野にも進出した。  1965年5月には、ミルカーで培った真空技術を応用し、国産初のドライ真空ポンプを発売。印刷機やプリント基板の実装機械などに搭載されている。
また冷凍技術の応用製品として、工作機械や医療機械、理化学機器、食品機械など広い用途で使われる「冷凍機械(チラー、ユニットクーラー)」、 圧縮空気を露点温度以下まで冷却して除湿する「エアードライヤー」が主力となっている。
最近では優秀省エネルギー機器表彰(主催:日本機械工業連合会)を6 年間で3 製品が受賞するなど「感動を呼ぶ製品をめざして」新分野、新技術に挑戦し省エネと環境にやさしい製品開発をしている。
受賞した製品には、精密に空気の温湿度を調整し、供給する「精密空調機器」があり、半導体製造装置などに使用されている。
また、次世代エコカーの普及に不可欠な水素ステーション用の「プレクールチラー」を発売している。もともと生乳の冷却で培った技術が進化を遂げ、 最新の水素ステーション用チラーに応用されていることは注目に値する。同社の製品開発の歩みは、自社のコア技術を絶えず進化させ、異分野に提案し続けてきた歴史そのものだ。
「今後も冷熱と真空でイノベーションを起こし続けたい」と太田社長は語る。

企業後継者が学び合う投資育成の「若手経営者の会」

同社が東京中小企業投資育成(以下、投資育成)から出資を受けたのは1969年。「(法律に基づいて設立された)公的な機関に資本を持っていただいているという意味で、非常に安心感があります」と太田社長。
1978年に同社に入社し、1991年に社長に就任した太田社長は、投資育成が主催する「若手経営者の会」で、1980年ごろから約10年間学んだ経験がある。
「若手経営者の会」では、投資育成の投資先である中堅・中小企業の後継者が自己研鑽しながら学び合う。現在、投資育成には7つの「若手経営者の会」があり、110名以上が学んでいる。各会の参加者は10~25人程度で、東京都渋谷区にある投資育成ビルに定期的に集まり、議論を交わす。
「『私たちの会社は10年後に何をするのか』というビジョンを各自がレポートにまとめて議論するなど、自分たちでテーマを決めて勉強しましたね。お互いに業種業界が違うということもあり、普段は話せないことでも本音で語り合うことができたので、メンバーのみなさんとは本当に親しく付き合えました」と太田社長は当時を振り返る。

一級の人材が一級の製品を生む

同社の経営理念の中に、「一級の社会人と一級の製品づくり」という言葉がある。一級の製品を作るには、一級の人材を育てることが欠かせないという考え方だ。
同社の新入社員は、配属前に1カ月間販売会社で研修が行われるが、ユーザー訪問の中で見聞きした得意先の生の声を、設計や製造現場へフィードバックする機会を設けている。
一方、営業担当者も配属前に受ける工場での3カ月間の研修では生産ラインに入るほか、営業に必要なサービススキルを学び、機器のメンテナンスに必要な社内資格を取得する。 さらに製造現場では、23歳以下の若手がものづくり技能を競う「技能五輪」に積極的に取り組んでいる。2016年に山形県で開催された第54回技能五輪全国大会では、その努力が実を結び「冷凍空調技術」部門で、同社の選手全員が入賞(金賞 1名、 銀賞 2名、銅賞 1名、敢闘賞 1名)という快挙を達成した。
2017年4月にはインドの現地企業と合弁で産業用チラー(冷却器)の生産・販売会社を設立し、中国(上海・東莞)、韓国、台湾、タイに続く5カ国6社目の海外生産拠点となる。
「オンリーワンではなくナンバーワンを目指す」ことが太田社長の信条。良きライバルとの競争を通じて製品とサービスの質を高め、市場の拡大と自社の成長を目指す。

ヒートポンプバランス 制御技術により最大80%の省エネを実現。

2010年「優秀省エネルギー機器表彰」日本機械工業連合会長賞を受賞
2016年第54回技能五輪全国大会冷凍空調技術部門にオリオングループから5名が出場し全員が入賞。2連覇を達成。

会社概要

会社名 オリオン機械株式会社
URL http://www.orionkikai.co.jp/
所在地 〒382-8502 長野県須坂市大字幸高246
工場 長野県須坂市(本社工場)、長野県千曲市(更埴工場)、北海道千歳市(千歳工場)、栃木県栃木市(栃木工場) 技術研究所:長野県長野市
海外事業所 中国、香港、台湾、韓国、タイ、インド
社員数 1853人(グループ会社含む)

コラム

企業後継者がともに 学べる場を提供

東京中小企業投資育成
業務第四部 部長代理
矢内雅章氏

70年の社歴の中で、自社の経営資源を活用して歯車の切削加工から酪農機器、産業機器の開発販売へと事業を発展させ、国内でも有数のメーカーに成長されたオリオン機械の展開力は非常に素晴らしいと思います。
投資育成では、太田社長に約10年間にわたり参加していただいた「若手経営者の会」や、「次世代経営者ビジネススクール」(次世代を牽引する幹部候補生向けの研修カリキュラム)などを用意し、投資先の後継者育成に力を入れています。
「若手経営者の会」は投資先の後継者が定期的に集まり、経営に関する勉強会や工場見学を通じて参加者が切磋琢磨しながら経営者として成長を目指す会です。 後継者は社内でも特別な存在で、会社の中でも、 経営者である親にも家族にもなかなか話せない悩みを持っており、その悩みを「自分だけの問題」だと考えてしまいがちです。それが投資育成の「若手経営者の会」や「次世代経営者ビジネススクール」では、似たような境遇にある後継者同士が本音ベースで意見を言ったり、お互いにアドバイスを行ったりしながら、親しくお付き合いされています。
なお、投資育成では、投資先の会社概要や事業内容を記した「投資育成ビジネス名鑑」を作成していますが、私はこの名鑑を活用し、投資先同士を結びつけるビジネスマッチングを行っています。オリオン機械にも名鑑をお渡しし双方のビジネスニーズを考慮して投資先同士をご紹介させていただきました。担当者が直接キーパーソンや経営者とつながっている当社の強みを活かし、 投資先のニーズにマッチしたビジネスマッチングを心がけていきたいですね。

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