オフィス探訪

社員の力を養う場所。パーパスを体現するシンボル

和光ホールディングス株式会社
和光ホールディングス株式会社
グループ会社の主な事業内容: 河川や道路などの調査・計画・設計など
本社所在地: 北海道札幌市
創業: 2021年
従業員数(グループ): 88人

 

外観の一部は木目調に、正面のデザインはアシンメトリック。和光ホールディングス(以下、和光HD)のスタイリッシュな社屋は、地域でもひときわ目を引く。
同社の細川康司社長は「私たちのパーパスを踏まえ、建設コンサルタントらしさを打ち出しました」と胸を張る。

和光HDのパーパスは「ゼロカーボンを念頭においた高度な技術力を駆使して、良質なコンサルティングを通じ、人々の将来にわたる安心安全な暮らしを支える社会資本整備の構築に貢献していくこと」だ。

2024年に完成した新社屋は両サイドをRC構造、中心部を木造としたハイブリッド構造で、木材は地元・北海道のカラマツ材を使用。地産地消とゼロカーボンへの取り組みを体現するつくりとなっている。高断熱化による熱負荷の低減などにより、省エネも実現。建築物省エネルギー性能表示制度は、最高ランクの5つ星を獲得した。また、安心安全な社会インフラを担う企業として、災害で停電が発生してもすぐに業務再開できるよう、自家発電機を設置するなどBCP対応を強化している。そこには特に、細川社長の強い思いがあったという。

同社はもともと同じ場所にあった旧社屋を一度、改修していた。しかし、2018年に起こった胆振(いぶり)東部地震の際、停電に遭って迅速な対応ができず、苦い経験をしたことに悔しさがあったのだ。また、改修では付け足し感があって美しくない、エレベーターがなくて荷物の運搬に苦労する、バリアフリーに未対応などの課題もあり、市内に複数ある分室やグループ会社を、1つに集約したいという思いも抱えていた。
「特に技術部をワンフロアにすることで、コミュニケーションを活性化させてイノベーション創出を図りたいと長く考えていたのです」

 

(写真左)木材を豊富に使ったエントランスは、温もりとリラックス効果を演出。街とオフィスをやわらかくつなぐ。
(中央)3階には、それまで分散していた技術部を集約。自然と社員が集まってつながりが深まるよう、中央部はマグ
ネットエリアとして事務用品を配置。天井は高く、のびのびと仕事ができる。(右)多様な働き方を求めた結果、固
定席とフリーアドレスのハイブリッドが定着しつつある。執務エリア中央に設置されたソファでは偶発的な会話から
イノベーションの創出をねらっている。

(写真左)2階中央部に設けられたコミュニケーションスペースは、休憩や雑談の場として機能している。
家具はプロジェクトチームによるセレクトで、和光技研の坂井敦行社長が提供したギターも置かれる。
(中央)三角山を一望できる屋上は、リフレッシュの場として人気。(右)「Salon.de.Wako」と名づけ
られた社長室。細川社長が社員と趣味を語り合いながら、コーヒーブレイクをしているそう。

若手の発想を盛り込み、次代へとつながる職場を!

人材確保と人材育成のために、会社のロイヤリティ
を高める職場は重要だと力強く語る細川康司社長。

2020年に隣地を購入し、新たな社屋を建築することを決めた。そして「新社屋プロジェクト」をスタート。「会社の将来を担う、若い人たちの発想を盛り込みたい」という思いから45歳以下のメンバーを募集し、さまざまな職種の8名が集まった。

毎月の定例会で「働き方の価値を高めるオフィス」には何が必要か、議論を重ね、社内アンケートから「社員同士がつながる」「未来へつながる」「社会とつながる」という大切なつながりを設定し、「be connected」というコンセプトが誕生。さらにプロジェクト外からも若手を募り、理想のオフィスを語り合うワークショップを実施。「遊び場がほしい」などの意見は、「コミュニケーションスペース」として実現した。

新社屋は採用活動にも好影響を与えている。エントランスに足を踏み入れた応募者からは、「この場所で働きたい」などの声があがるそうだ。
シンボリックな建物は、同業他社からも一目置かれている。「社外からの声で“ここで働いている喜び”を再認識できる」と細川社長は微笑む。

「私たちの仕事は、顧客の潜在ニーズに対して提案すること。それはコミュニケーションからしか生まれません。その力を養うために必要なのが“職場”だと考えています」
経営者の思いが次世代につながって完成した職場は、和光HDの持続可能性も示唆しているようだ。

 

社屋はコンクリートと木によるハイブリッド構造。地震に強いが施工が
難しいため道内での採用は珍しく、チャレンジングな企業風土が伝わる。

 

機関誌そだとう223号記事から転載

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