SBIC東京中小企業投資育成株式会社

後継者選びと教育は事業承継の中核となる重要事項

中小企業が直面している後継者の問題。後継者をどう選び、どう育てていくかは、事業承継を考える上で最重要課題といえます。しかし、その方法にはいくつかあり、それぞれに一長一短ありますので、自社に適した方法を選ぶことが肝要です。
ここでは、後継者選びの方法とポイントのほか、教育の進め方についてご紹介します。

改善の見通しが立たない後継者問題

企業の後継者不足は、相変わらず深刻な状況が続いています。これは、業界や企業規模に関係なく、多くの企業に共通している課題であり、その実状は想像以上に深刻なものです。

企業の6割以上が後継者不在

帝国データバンクの「全国・後継者不在企業動向調査(2019年)」によると、事業承継の実態が分析できる全国の企業約27万5,000社を対象に調査したところ、実に65.2%の企業が後継者の不在に悩んでいることがわかりました。
また、この数値は2011年以降、65%前後で推移しており、後継者不在がすでに慢性的な課題となっていることがうかがえます。

事業承継はできるだけ早期に準備しておく

規模の小さな企業では、会社の運営は経営者個人の意思やノウハウ、人脈に頼る部分が大きいもの。そのため、トップが何らかの理由で突然不在となってしまうと、それだけで会社が回らなくなり、業績が悪化して倒産という事態につながりやすくなります。

それだけに、小規模の企業こそ事業承継を真剣に考え、早期に対応することが大切です。事業承継は思い立ってすぐにできるものではありませんから、できるだけ早くから想定を立て、準備しておくことが肝心でしょう。

後継者はどうやって選ぶ?

事業を引き継いでくれる後継者に関しては、多くの企業が課題を持っています。しかし、事業承継を行うには、後継者がいなくては話になりません。想定できる後継者の中から、どのような人物を選べば良いのか考えてみましょう。

対象を親族内・親族外に固定しない

事業承継を考えている経営者がまず検討するのは、親族内承継でしょう。経営者の親族が後継者となれば、社内外にも受け入れられやすく、しかも教育の時間も長くとれます。
しかし、たとえ身内に後継者候補がいたとしても、本人に経営者としての資質があるかは別の問題ですし、将来的な事業の先行きや自分の能力も考えた結果、引き受ける意思はないという判断になるかもしれません。それであれば、役員・従業員を後継者に立てるか、M&Aによる売却という手段をとったほうが、スムーズな事業承継につながるかもしれません。
ですので、後継者を選ぶ際には、当初からその対象を親族内あるいは親族外のいずれかに固定しないことが重要です。自社の状況を踏まえて、どのような選択肢があるのかというところから検討するといいでしょう。

後継者の資質を検討する

どのような人物を後継者に選ぶべきか、その会社の状況によっても悩むところでしょう。
会社の経営には多くのノウハウが必要ですが、自社事業に関する知識や情報は、教育や訓練によって身につけることができます。周囲がサポートすることも可能でしょう。
しかし、経営に対する意欲や決断力、人を惹きつける魅力は、そう簡単に手に入れることができません。また、事業承継の後、後継者は会社経営に多くのエネルギーを使うことになります。そういったことに対応できる資質があるかどうかも考えた上で、候補者を探す必要があるでしょう。

どのように後継者を育てるか

後継者を選定したら、後継者教育に取り組むことになります。事業承継後も順調に事業を進めていけるよう、後継者は必要な知識や経験、心構えなどを身につけておかなくてはなりません。
この後継者教育にはいくつかの方法がありますが、どの方法が適しているのかは、自社の状況や後継者の資質によります。さらには、事業承継までの残り時間との兼ね合いも考える必要があるため、各社それぞれの状況の中で、ベストの方法を検討してみましょう。

計画的育成がしやすい社内教育

社内教育は、文字どおり後継者を自社で教育する方法で、計画的な教育がしやすいのが特徴です。また、現経営者の仕事に接する機会が多いため、経営者としての仕事を覚えるのにも適しています。他の従業員ともコミュニケーションがとれますので、事業承継後も業務に集中しやすくなるでしょう。
具体的な方法としては、社内の各部署をローテーションして、業務全般の知識や経験を身につける方法があります。また、社内プロジェクトの担当など、責任あるポジションを与えることで、経営に対する意識を高めていきます。
経営理念やノウハウの引き継ぎ、業界固有の情報、従業員との接し方など、経営者特有の仕事については、経営者によって直接指導を行います。

より広い視野を得られる社外教育

社外教育は、同業他社で修業を積む方法で、経営者と親しい同業他社や取引先で仕事を覚えていきます。
業界の動向を知り、人脈を広げるという点で有効な方法だといえるでしょう。一度外部に身を置くことで、自社を冷静かつ客観的に見ることができるというメリットも生まれます。
また、後継者がある程度の実力を身につけたところで、自社の関連会社や子会社の経営を任せてみる方法もあります。後継者に経営者としての責任感を強く持ってもらうことができ、本人の資質を確認できるという利点もあります。

後継者向けセミナーへの参加や海外留学も

後継者教育について、社内での教育をベースに考えた場合、それを補完する意味でまったく異なる教育環境を利用する方法もあります。
例えば、公的・民間機関が開催している、後継者向けセミナーや勉強会などが挙げられるでしょう。経営者に必要な知識や心構え、実務上の知識を得ることができ、経営をどう受け継いで安定させるかというような、実践的な講義も行われています。1日数時間、数日間で行う集中的なものから、数ヵ月以上かけて定期的に行われるものまでさまざまです。
また、特殊なケースですが、海外への留学や研修という方法も考えられるでしょう。海外との取引が多かったり、海外に工場があったりというような場合には、現地での知識の習得、文化・習慣の理解が、その後の経営に大きく役立つこともあるはずです。

後継者教育に必要なこと

後継者教育を行うにあたって、どの方法を選ぶにしても、後継者の教育に必要なことが2つあります。
それは、後継者を支える体制を作っておくことと、中期事業計画を策定しておくことです。

後継者を支える体制づくり

どのような後継者であれ、現経営者とまったく同じことを、すぐにできるわけではありません。承継直後はうまくいかないこともあるでしょう。先代と比較されることもあるかもしれませんし、そうなると経営者としての求心力が落ちてしまうかもしれません。
そのようなことのないよう、後継者を支え、サポートするチーム体制を作っておくことが必要です。経験豊富な幹部が後継者の脇をしっかり固めることで、経営に集中できる体制を整えておくのです。

中期事業計画の策定

後継者へのサポート体制が構築できたら、後継者が中心となって中期事業計画を策定します。これは、新体制の経営方針と業務の方向性を再確認し、社内に周知するためのものです。
もうひとつ、後継者に新経営者としての自覚を持たせ、経営の当事者であることを意識づけるという目的もあります。

後継者に必要なものとは?

これまでに述べてきたことを踏まえ、後継者は事業や経営についてさまざまなことを学ぶ必要があります。その中でも、重要なことを挙げておきましょう。

経営理念とノウハウの承継

特に小規模な企業では、経営者自身の考えと独自のノウハウで会社が運営されていることが多いものです。それらを単に受け継ぐだけでは、今以上に事業が発展することはできません。
そのため、これまでのノウハウなどに加えて、後継者自身の価値観や考えを反映させ、将来にわたって成長するための新たな経営理念を確立させる必要があります。こうすることで、後継者のもとで「どんな目的のために、どこへ向かうのか」という点が明確になります。

経営者としての強い自覚とリーダーシップを持つ

経営者の交代は、程度の差こそあれ社内に動揺と不安を与えます。そうした状況を早期に安定させるには、全従業員をまとめ上げ、共通の目的や目標のために動機づけを行う強いリーダーシップが求められます。
必要以上に周囲に遠慮したり、反対に自分の考えを通そうと我を張ってしまったりすると、まったく逆の結果を招きかねません。まずは経営者としての自覚と経営戦略を持ち、目指す将来に向かって組織全体を牽引していく熱意を、周囲に示すことが重要です。
「この経営者なら、今まで以上の発展と成長が期待できる」と社員が実感できれば、多くの不安は解消され、迷いなく業務にあたることができるでしょう。

関係者との関係維持

顧客や取引先、協力企業、金融機関などと良好な関係を保つことは、企業経営に欠かせません。各社との取引内容を十分に理解した上で、相手が不安を感じることのないよう、良好なコミュニケーションを図ることが大切です。

後継者の選定と教育は万全を期して

事業承継に関する課題の中で、後継者の選定と教育は、まさに核といえる重要項目です。十分な検討が不可欠ですし、とても難しい判断を迫られます。後継者教育のプロセスそのものが、5年や10年と長い時間がかかる上に、後継者が身につけなくてはならないことは多岐にわたります。
東京中小企業投資育成株式会社では、事業承継に関するご相談を随時受けつけておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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