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事業承継に必要な準備は早いほうがいい?検討すべきポイントを解説

事業承継のことは頭にありつつも、まだ先の話だと先送りしてしまうこともあるでしょう。
しかし、事業承継には、さまざまな面で手間も時間もかかります。そのときになって打つ手がないということにならないよう、準備しておきたいものです。
ここでは、どのように事業承継計画を検討したらいいか、またどのような準備をしたらいいかをご紹介します。

事業承継の準備はいつから始める?

経営者にとって事業承継における深刻な問題は、後継者が不在ということ。特に、中小企業は切実で、2019年の株式会社東京商工リサーチの調査では、後継者が決まっていない中小企業は半数を超えることがわかりました。
事業承継への具体的な計画はおろか、その方針さえも明確でない企業が多いことが現状といえるでしょう。

■中小企業の後継者不在率

※株式会社東京商工リサーチ「2019年『後継者不在率』調査」(2019年11月)

準備は早ければ早いほどいい

事業承継は、思い立ったらすぐにできるというものではなく、十分な検討と周到な準備が必要です。
まず、事業承継のおよその方針を決め、そこからスケジュールも含めた具体的な計画を練っていきます。現経営者の親族内に後継者候補がいないなら、社内外の人材に委ねるか、あるいはM&Aで会社を売却するなど、さまざまな選択肢を検討して、可能性を探らなければいけません。

さらに、どのような形であっても事業承継を行うと、株式相続や税金の支払いが発生するため、資金も必要になります。資金は、いざというときに、すぐに用意できるとは限りません。事業承継の準備は早ければ早いほど良いのです。

経営者が取り組んでいる事業承継の準備

後継者問題や事業承継問題を認識している企業の中には、すでに何らかの準備を進めている企業もあります。
2012年の中小企業庁の調査によると、事業承継の準備として多く行われているのは「後継者の資質・能力の向上」という結果となっています。続いて、「取引先との関係を維持すること」「後継者を支える人材を育成すること」「債務・借入金を圧縮すること」と続いています。
この結果を見る限り、多くの中小企業では後継者教育を第一とし、社内外でのサポート体制を整えていく準備を行っていることがわかります。

■事業承継の準備として取り組んでいること

※中小企業庁「中小企業白書2013年版」(2013年)
資料:中小企業庁委託「中小企業の事業承継に関するアンケート調査」(2012年11月、株式会社野村総合研究所)
注1:経営者の年齢が50歳以上の企業を集計している。
注2:小規模事業者については、常用従業員数1人以上の事業者を集計している。
注3:「その他」は表示していない。
注4:事業承継の準備として取り組んでいることには、取り組む予定にしていることを含む。

事業承継の計画を考える

事業承継の準備の中でまず手をつけるべきことは、事業承継計画の検討です。事業承継のスケジュールも含めて十分に検討し、構築していくことが肝心です。
ここからは、どのように事業承継計画を検討していけば良いのか、その概要を解説します。

準備は「経営」と「資産」に分けて考える

事業承継には「経営」と「資産」という、2つの側面があります。
経営の承継とは、企業としての理念や信条、それをもとに実際に事業を運営していくノウハウの承継を指し、資産の承継とは株式や事業資産の承継・配分などを指します。また、事業承継にあたっては、贈与税・相続税などのコストがかかりますので、その点も考慮しておく必要があります。

事業承継を経営と資産に分けて考えると、「資産は承継するが、経営権は当分のあいだ、現経営者が保持する」という選択も見えてきます。例えば、株式の設計を変えたり、信託を活用したり、あるいは定款を変更したりといった方法をとれば、ゆるやかな事業承継を行うことが可能です。

承継の手順をステップごとに構築する

事業承継は、その状況になったときに、思いどおりの承継ができるとは限りません。経営と資産という2つの領域にまたがることも念頭に置き、段階を踏んで進めていくことが肝心です。
つまり、承継の準備から完了までを、いくつかのステップに切り分け、階段を一段ずつ昇っていくように進めていくのです。

<事業承継のステップ>
1. 自社の経営状況と課題の把握
2. 承継を前提とした課題解決と経営改善
3. 事業承継計画策定
4. 事業承継を実施
5. 承継後の安定・発展のための施策

各ステップの課題を洗い出し、解決を図る

事業承継のプロセスをステップに切り分けたら、それぞれの課題を洗い出し、改善・解決を図ります。これは、企業ごとに異なりますし、課題によっては「どこまで改善できるか」のラインも異なるでしょう。具体的な施策も、企業によってさまざまなはずです。
しかし、どのような場合でも、第一に考えるべきは事業承継前にできるだけ経営改善に努め、より良い形で事業を引き継げるようにしておくこと。これは、自社の経営状態や価値の向上にもつながり、結果として後継者候補が「この会社を継ぎたい」と感じる魅力づくりにもなります。

承継のタイムリミットを決めておく

創業経営者であれば、みずから会社を立ち上げ、育ててきたという自負があります。ですから、「そろそろ後継者を考えないと」と思う一方で、「まだまだ現場でがんばれる」という気概も持ち合わせているものでしょう。
後継者不在であればなおのこと、事業承継をつい先延ばしにしてしまうかもしれません。しかし、どんな経営者であっても、未来永劫そのポジションにいられるわけではありません。

例えば、経営者が60歳になったところで承継計画を始めたとしたらどうでしょうか。後継者の選定・育成に10年かかるとすれば、70歳で事業承継できます。つまり、事業承継のタイムリミットを「経営者が70歳になったとき」と設定しておき、そこから逆算して事業承継計画の開始時期を「経営者が60歳になったとき」としておくのです。
また、事業承継後も先代経営者が経営に関わる形をとるなら、その期限も同時に設定しておくべきでしょう。このように、ゴールのタイミングを決めておけば、いつからどのような作業を行うかというスケジュールも明確になってきます。

事業承継計画のポイントとは?

事業承継にあたっては、そのプロセスと内容を定義する計画が必要です。その中でも重要なのが、関係者の調整と後継者教育、それに事業承継に必要な資金の準備となります。

関係者の調整と後継者教育

中小企業では、親から子供へと事業承継されることが多かったのですが、現経営者に子供がない場合もあります。また、子供も含めて親族に後継者候補がいたとしても、本人に承継する意思がなければ無理強いすることはできません。その場合は、親族以外の役員や従業員などから後継者を探すことになります。

しかし、それまで事業承継の意思がなかった親族が、事業承継の意思を突然表明することがあるかもしれません。この場合、すでに別の後継者候補を立てていると、事態の収拾に苦労することになります。それだけに、事業承継の意思確認は念入りに行う必要があります。
また、後継者の教育は、一般的に自社内で行いますが、同業他社に出向させる方法もあります。どのような方法が良いかは、自社の状況と後継者の資質によって変わりますので、これも慎重に判断すべきでしょう。

事業承継に関わる資金の準備

事業承継にあたっては、資金の準備も必要になります。主に、税金の納付や株式等の買い取りに必要な資金で、準備が不足していると事業承継に支障をきたしますので、漏れのないよう準備しておきましょう。

・税金の納付
後継者が贈与や相続によって自社の株式を取得したり、事業資産を譲り受けたりすると、通常、贈与税や相続税が発生します。高額になることも多いですが、いくつかの要件を満たすことで納税が猶予される事業承継税制の適用を受けることができます。
・株式・資産買い取り資金
後継者が安定した会社経営を続けていくためには、十分な量の株式を保有する必要があります。また、事業承継では会社で使用している個人資産も引き継ぐことになりますので、それらを買い取れるだけの資金を準備しておかなければなりません。
後継者が親族であれば贈与・相続という方法もありますが、この場合は前述した贈与税・相続税の課税対象となります。

経営理念や事業目標の再確認

経営理念は企業の価値観・信条であり、事業活動全般の行動指針となるものです。そして、事業目標は自社の方向性を指し示す羅針盤でもあります。
後継者のリーダーシップのもと、全従業員が理念と目標を共有できるよう、事業承継を機に改めて明確化しておきましょう。

事業承継は東京中小企業投資育成株式会社に相談を

事業承継はその準備段階から、各方面・各領域で多くの作業が必要ですので、専門家のアドバイスは不可欠です。事業承継についてお困りの際は、多くの知見を持ち、総合的なサポートができる東京中小企業投資育成株式会社にご相談ください。

中小企業の経営安定化と成長をサポート

東京中小企業投資育成株式会社は、その名のとおり投資と育成を軸にして、中小企業の経営安定化と成長をサポートすることを業務としています。
ベンチャーキャピタルは売却益を追求しますが、東京中小企業投資育成株式会社が求めるのは安定的な配当です。そのため、経営者に寄り添う長期安定株主として投資し、経営の良き相談相手として長期にわたる支援を行っています。

株式などの引き受けによる経営の安定化

事業承継では、後継者が株式を買い取る資金力がないなどの理由で、十分な量の株式を保有できないケースがあります。
そのような場合に、東京中小企業投資育成株式会社が株式を引き受け、後継者を支える長期安定株主として経営の安定化を図ります。

投資先企業の自主性を尊重

東京中小企業投資育成株式会社は、1963年制定の中小企業投資育成株式会社法という法律にもとづいて設立された、国の政策実施機関です。
そのため、投資先企業の自主性を尊重した友好的な安定株主として存在し、経営への干渉や役員派遣は行いません。事業承継においてもこの基本姿勢は変わらず、企業のパートナーとして支援します。

半世紀以上の信頼と実績、約2,300社の利用実績

1963年の設立以来、2020年3月時点での投資企業の累計は2,336社に上り、投資残高は418億円にも達しています。この利用実績こそ、長年にわたる活動に対する社会的信頼のしるしといえます。

信頼できるパートナーに相談を

どのような方法をとるにせよ、事業承継には各方面での多くの準備が必要ですし、長い時間がかかります。ですから、経営者が元気なうちに、早めに準備を始めることが肝心です。
東京中小企業投資育成株式会社は、事業承継についての知見や事例を数多く持っています。事業承継について不明な点がございましたら、まずはお気軽にご相談ください。

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