SBIC東京中小企業投資育成株式会社

「本業が儲かっているときにこそ新規事業に取り組むべき」

本業が生む利益の活かし方

本業が生む利益の活かし方

今号の特集では、本業に次ぐ第二の柱をつくり出すべく、いかに新規事業を成功させるかについて考えてみました。その中で見えてきた一つのセオリーは、「本業が儲かっているときにこそ新規事業に取り組むべき」ということです。

長谷川教授の解説(16~17ページ)では、プロダクト・ライフサイクルの概念を用いて、既存事業が、導入期→成長期→成熟期→衰退期のうち3番目の「成熟期」にあるとき、新規事業に取りかかるのがよい、としています。

では、この成熟期とは何を意味するのでしょうか?

製品が世に出る前の段階である開発・試作やテストマーケティングでは、お金は出て行く一方です。また、販売を始めた初期段階でも、売り込みのための営業活動や顧客の要望に応じた改良に経営資源を割くことが多いことから、さらに「収入<支出」という状態が続きます。これらキャッシュアウトが多い時期を経て、顧客の支持を受けた製品のみが、「収入>支出」となる時期を迎えます。この状態が続けば、先行的に投資した資金回収が終わり、累積キャッシュフローがマイナスからプラスに変わります。このキャッシュが入ってくる段階が新規事業に取り組むべき「成熟期」である、ととらえるとよさそうです。

この「成熟期」を迎える製品をつくり、そのキャッシュを元手に新しい事業に取り組み、再びその新事業を「成熟期」に向かわせる。その循環こそが活力ある企業をつくるのだと思います。

業種によっては、古典的な事業管理の手法であるプロダクトポートフォリオマネジメント*(下図参照)でも解釈できると思います。初めはたとえ4象限図の上右側、「問題児」(Problem Child)だとしても、伸びシロが大きそうな分野にチャレンジし、他社との競争に勝ち、「花形」(Star)をつくり、中長期的に「金のなる木」(Cash Cow)として存続させる。そこで創出したキャッシュを、再び伸びシロが大きそうな分野に投資する、という循環です。

この「循環が活力を生む」という発想は、現在どんなに強い競争力を持つ事業も、その強さがいつまで続くかは分かりにくい、という前提の上にあります。もっとも、それに対する対処方法は、新規事業にチャレンジし「第二の柱」をつくることだけではありません。既存事業に対する継続的な投資により競争力を維持することも有効な方法です。いずれにせよ「事業で生まれたキャッシュは、将来キャッシュを生む事業のために投じるべき」と言えるでしょう。

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