SBIC東京中小企業投資育成株式会社

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支援事例

投資育成の情報提供で助成金を活用し設備投資を実現

株式会社博進紙器製作所

東京中小企業投資育成(代表取締役社長 望月晴文)は、中小企業投資育成株式会社法に基づき、中小企業の自己資本の充実を促進し、健全な成長発展を図ることを目的に、投資業務および経営相談やビジネスマッチングなどの育成業務を行っている。 同社の活動を交え、それぞれの成長ステージで直面する課題を乗り越えてきた「元気な中小企業」の活躍ぶりに迫る。

オーダーメイドで顧客ニーズに応える紙パッケージのニッチトップ企業

高級紙器を手がける100年企業

音楽CDやDVDなどの紙製ジャケット
が売上の6割を占める

東京都葛飾区に本社を置く博進紙器製作所は1913年に創業し、今年で105年目を迎えた。創業以来、多種多様な商品の包装に用いられる印刷紙器や貼函(はりばこ)などの紙器を製作している。
当初は和菓子の贈答箱やブックケースを数多く手がけたが、現在は音楽CDやDVDなどのエンターテイメント用の紙ジャケットが売上全体の6割を占める。コレクター向けのDVDボックスや期間限定の特別版など、美観や芸術性、高級感が求められる特殊なパッケージが多い。
また、チョコレートを始めとする菓子などの化粧箱に用いられる高級貼函も数多く手がける。貼函は、厚紙で作った箱に貼り紙やクロスを貼り合わせたもので、パッケージに多様なデザイン性や質感を持たせることが可能。ジグゾーパズル専用の製造ラインも持っており、独自製法で高品質の製品を提供しているほか、新たなピース形状や特殊素材の開発に余念がない。

「他にはない技術」を育み顧客ニーズに応える

チョコレートを始めとする菓子用の
高級貼函も数多く手がける

「最近需要の多いDVDボックスにしても、ありきたりのパッケージでは市場に受け入れられません。そこで当社は『他にはない技術を持つこと』という経営理念を掲げています」と、5代目社長の丸井康弘代表取締役は語る。
そこで同社は、自社の目指すものづくりを可能にするため、パッケージの高品質化と生産効率の向上に加えて、今後新市場でどんなパッケージが受け入れられていくのかを見据え、機械メーカーとタイアップしオリジナルの製造装置を開発している。
同社の強みは第1に、社内一貫生産システムにある。パッケージの設計・開発や検査、オフセット印刷、表面加工などの前工程を始め、型抜き、製函、出荷までを自社で一貫して手がけ、高品質のパッケージを短期間に量産できる体制を整えている。
第2の強みは提案力。同社では営業担当者が、顧客先との打ち合わせを終えたあと、みずからCADシステムを操作してパッケージの試作品を制作。顧客の抱くイメージや要望を反映し、さらに自身の提案も加えて、翌日には数種類のサンプルを持参することが可能だ。
同社の営業担当者は新商品の生産が始まる頃などに、工場に頻繁に足を運ぶほか、繁忙期にはみずから生産ラインに入って作業を手伝い、生産設備や生産技術に対する知識を深めている。対応の早さに加えて、技術的な知識をしっかり身につけたうえで精度の高い提案を行っているため、顧客からの評判が高い。

投資育成の情報提供で助成金を活用し設備投資を実現

同社では7年前から、新市場である化粧品分野の開拓に取り組んできた。ある展示会で「チーク(頬紅)を入れるケースを貼函で作れないか」と相談を受けたが、製品のサイズが非常に小さく、手作業で箱に貼り紙をすることはできても、機械で作業を自動化することは難しかった。
だが今後、化粧品を始めとするさまざまな分野で、小型のパッケージへの貼函ニーズが増えていくとみた同社では、東京都中小企業振興公社の「成長産業等設備投資特別支援助成金」を活用し、 小型のパッケージに対応できる全自動貼函用製函機を、機械メーカーとタイアップして開発を行い導入した。
同助成金の助成限度額は1億円で、助成率は対象経費の1/2以内。地方自治体が行っている助成制度の中でも、これだけ規模が大きなものは珍しく、これまで実施したくてもできなかった設備投資も可能になる。
この助成金の活用を勧めたのが長期安定株主として同社に出資する東京中小企業投資育成(以下、投資育成)である。 近年、投資育成では中小企業庁および東京都などの地方公共団体が実施する各種施策の情報発信基地になるべく、情報提供に注力しており、投資先企業一社一社に合った制度の紹介を行っている。
投資育成からの情報提供を受けて、丸井社長と経営企画部の小松恭三部長が説明会に参加し、同助成金の申請を決定。次いで経営陣、営業部門、生産部門、管理部門による合同ミーティングを重ね、必要な機器の仕様や導入時期、導入後の効果や資金繰りなどについて話し合い、自社で助成金の申請書を作成。その甲斐あって、同社は見事に同助成金の交付を受けることに成功した。その際、投資育成では、同社が作成した申請書の内容についてアドバイスを行っている。

新たなニーズと不易のニーズに応える

博進紙器製作所
代表取締役社長
丸井康弘氏

同社の営業部門では、毎月1回、管理職以上および若手に向けて研修を実施している。若手には、営業のイロハから市場の見方まで教育し、パッケージのユーザーである顧客の先にいる消費者の嗜好や興味関心を感知する能力を養い、それを含めた提案ができる人材を育成中だ。
「新市場の開拓については、化粧品分野への参入の取り組みが、ここ数年で実を結んできましたが、その一方で、創業当時から手がけている食品分野などの既存市場の深掘りも行っています。食品分野はけっしてなくならない市場で、時代とともに形は変わっても、開拓の余地がまだあります。加えて日本には特有の贈答文化があり、ギフトはしっかりしたパッケージに入れて贈りたいというニーズが根強いので、こうしたお客様のこだわりにも応えていきたいですね」と丸井社長。100年企業の歩みは続く。

会社概要

会社名 株式会社博進紙器製作所
URL http://www.hss-cj.co.jp/
所在地 〒125-0063 東京都葛飾区白鳥3丁目32-39
工場 茨城県石岡市(茨城第一工場、茨城第二工場)
社員数 154人

コラム

投資先企業にあった施策情報を発信

東京中小企業投資育成
業務第一部 参事役
多田恵一氏

博進紙器製作所社は高級紙器に特化したニッチトップ企業で、その強みを支えているのが生産技術力と営業・企画力、経営力。そのうち生産技術についていえば、同社は社内でパッケージを一貫生産できる体制を整え、自社のものづくりに合わせてカスタマイズしたオリジナルの機械を開発・導入しています。
私を含む担当者個人が普段から、お客様に合った情報提供やアドバイスを行っていこうというマインドを持って活動していることはもちろんです。それに加え、当社では専門部署で国や各種支援機関、自治体などの政策や施策をリサーチし、助成金や補助金を始めとする「こんな制度がこの投資先企業にはお勧めできるのではないか」という提案を含む情報提供を、各担当者に向けて行う社内インフラが整っていることが大きな強み。
博進紙器製作所社の場合は、助成金や補助金についても、当社が提供する情報だけに頼らず、みずからも情報収集を行い、全社横断的なプロジェクトを組んで申請書の作成に取り組んでいるところが素晴らしいですね。 自助努力と先手必勝をモットーに、今後さらに成長していってほしいと思います。

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